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「迷惑な外国人」を攻撃…日本人の「観光客ぎらい」はなぜ進むのか

11/4(月) 8:01配信

現代ビジネス

オーバーツーリズムで崩れるバランス

 もっとも、日本以外の国でも、外国人観光客の受け入れへの拒否感が示される例は散見される。いまバルセロナやアムステルダムなど世界的な観光都市では「オーバーツーリズム」が深刻化し、生活環境を脅かされている市民による反観光運動が問題化している。

 観光客を受け入れるということは、その地域のインフラや空間、有形無形の文化など、さまざまな資源を彼らと共有することで、対価を得るということでもある。しかし、観光客の受け入れが地域のキャパシティを越えて「オーバーツーリズム」の状態となったとき、そのバランスが崩れる。地域の人々は、自分が欲しかった商品を、快適で安心な生活環境を、思い出の場所を、「彼らに奪われた」という感覚を持つようになるのだ。

 彼らは叫ぶ。「観光客は帰れ」「もう観光はごめんだ」と。

観光に巻き込まれた花街の危機

 そもそも外国人観光客への忌避感があったところに、オーバーツーリズム気味となれば、たしかに「観光客ぎらい」になってしまうのも理解はできる。加えて、実はほかにも「観光客ぎらい」をドライブする要因がある。それは「不公平感」だ。どういうことだろうか。

 京都の花街・祇園甲部では10月25日から、私道の撮影禁止を知らせる看板が設置された。この界隈はじつはほとんど私有地であり、メインストリート以外の路地の多くが私道である。そこを撮影禁止にするのだという。

 花街・祇園を訪れる観光客にとってその風情のある街並みを撮影するというのはいちばんの目的である。それを制限しようというわけである。地元関係者に話を聞くと、その目的は「もう観光客が来なくなるように」だという。

 「他のところは観光客に来てほしいけどマナーは守ってほしいと思っているかもしれませんが、ここはちがいます。そもそも観光客に来てほしくないのです」

 カメラで撮影しながら付きまとう、腕をつかむ、着物を引っ張るなど、最近、全国メディアでもセンセーショナルに取り上げられる機会が増えた、花街の舞妓・芸妓へ「狼藉」を働く外国人観光客。いわゆる「舞妓パパラッチ」問題である。

 なかには着物を破る、襟元に火のついた煙草を投げ入れられるなど、刑事事件となったものさえあり、この街に外国人観光客が押し寄せるようになったここ数年来、深刻な事態が続いている。しかし、問題はそのようなマナー違反だけではない。

 いまや世界中の観光客でにぎわう祇園の風景を見て勘違いしている人も多いが、そもそも花街は観光客相手に商売をする観光地ではない。それどころか、ある意味ではもっとも観光と相性の悪い街であるともいえる。

 花街とは「いちげんさんお断り」のしきたりでプライバシーを守られた「お偉いさん」が「お忍び」で遊びにくるようなところだからだ。そんな場所にカメラを構えた観光客が押し寄せて昼夜を問わずバシャバシャとシャッターを切るようになったら、果たして、その「お偉いさん」はそれでもまだこの街に通おうとしてくれるだろうか? 
 花街にとっては、マナー以前に、観光客が押し寄せるということ自体、「観光に巻き込まれる」ということ自体が、深刻な死活問題なのである。

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最終更新:11/4(月) 8:01
現代ビジネス

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