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相続放棄したのに…ゴミ屋敷に100万払わされた30代女性の勘違い

11/5(火) 6:06配信

現代ビジネス

「管理責任」はなくならない

 こうして父親の借金から解放されたAさん。しかし、それですべてが解決したわけではありませんでした。父親が住んでいた町の町内会の代表から突然、「ゴミ屋敷を片付けてくれ」と、連絡が来たのです。

 相続放棄をしたにもかかわらず、どうしてAさんは実家を片付けなければならないのでしょうか。

 実は相続放棄をしたからといって、空き屋を含む相続財産の「管理責任」まで免れられるわけではありません。しかも今回のケースのように相続人が一人の場合、相続放棄によって空き屋を相続する必要がなくなっても、民法上、相続財産の管理責任が残ってしまうのです。

 「わたしも薄々、あのまま放置するのはよくないと思っていました。でも、わざわざ京都まで帰るのも面倒だし、放っておいたのです。最初に手紙が来た時は無視しようかと思ったのですが、電話までかかってきて仕方なく対応することにしました」(Aさん)

 Aさんは知人に紹介された弁護士に相談しました。弁護士によると、相続財産が全体としてプラス(財産が負債より多い)になりそうであれば、速やかに家庭裁判所に「相続財産管理人」を選任して、その人に相続財産の管理を引き継ぐという対応もあるというのがわかりました。

 ところが、先にも言ったように父には方々に借金があるようだし、家の中もゴミだらけでめぼしい財産は何もなかったので、これは選択できません。そもそも、この相続財産管理人の選任には、ゴミ処分にかかる実費を上回る予納金を収めないといけない見通しでもあり、とても現実的な選択肢にはなりそうもないのです。

膨大なカネがかかる

 結局Aさん自身が、相続放棄をしたものの、管理責任に基づいて、ゴミ屋敷の後処理をしなければならないことになってしまったのです。

 ゴミ屋敷の片付けを自分でやることを覚悟したAさんは、格安の遺品整理業者を調べることにしました。

 「ネットでは結構安いのがあるんですよね。2万円切るような業者とか。これはいいと思ってその中で最も安そうなところに連絡しました。ところが、実際空き家に行ってもらって見積もりを出してもらったら、びっくり。2万円というのは軽トラック1台分で、実家の片付けには100万円近くかかってしまいました」(Aさん)

 しかも、片付けのために東京と京都を何度も往復しなければいけなくなったAさん。法定相続人が一人だったため、親族内での「争う族」にはなりませんでしたが、父の遺した「負の遺産」のため、危うく近隣との争いになるところでした。なんとか近隣との争いを避けることはできましたが、遺品整理の収支で大きなマイナスとなってしまったのです…。

 Aさんはため息交じりにこう言います。

 「なんとかゴミ屋敷は片付けましたが、後の管理や、不動産の手続きも残っています。結局のところ相続放棄をしたと言っても相続人が私だけですし、後始末は私でやるしかありません。こんなことにならないためにも、父にはせめて生前にある程度の整理というか終活をしておいてほしかったですね…」

 一般的には相続人は一人であれば、相続は揉めないと言われます。遺産の分割に関してはそうですが、遺産の管理で近隣と揉めるケースもあるのもまた事実。やはり個人的には遺言を書いたり、終活をしたりというのは、生前の残された子供たちに対する最低限のマナーではないかと思います。

江幡 吉昭

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最終更新:11/5(火) 6:06
現代ビジネス

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