ここから本文です

フェラーリが、客にあえて1台少なく売る理由

11/5(火) 5:30配信

東洋経済オンライン

商品が売れ始めると「品切れは絶対ダメ」と考え、生産量を一気に増やす会社は多い。しかし商品が余って売れ残り、価格も下がってしまうのもよくあることだ。
マーケティング戦略コンサルタントであり、『売ってはいけない』の著者でもある永井孝尚氏によると、「機会損失を怖れ商品を潤沢にそろえることだけ考えているから、自ら価値を下げている。ゲーム理論を学び、『あえて少なく売る戦略』も検討すべきだ」という。そこでフェラーリの価値づくりをひもときながら、付加価値の本質について語ってもらった。(本記事は、同書の一部を再編集したものです)

この記事の写真を見る

■その行動、商品の価値を下げてます

 ユミさんはかわいいアクセサリーを手作りし、ネット販売している。ユミさんが作るアクセサリーには、根強い人気があった。でも彼女のアクセサリーは、決して品切れしない。

 ユミさんいわく「『欲しい』というお客さんを悲しませたくないので、『これくらい売れる』という数よりも、2~3割多く作っています」。品切れさせないために徹夜もいとわないという。だから必ず売れ残りが出る。

 そこでユミさんは定期的に「感謝セール」を行い、半額で売っている。しかし最近、「これくらい売れる」と思った数が売れなくなってきたという。感謝セールを待って、半額で買おうとするお客が増えてきたためだ。

 多くの日本メーカーが行っていることは、ユミさんが行っていることと同じだ。商品が売れ始めると多少無理をしてでも生産量を増やすが、供給過多になり売れ残る。そして在庫一掃セールにより自ら価値を下げ、価格も下がってしまう。

 「機会損失」という言葉がある。本来売れるのに商品がないため売れない状態のことだ。ユミさんも多くの日本メーカーも、この機会損失を怖れて多めに作っているのだ。しかし、そのために自ら商品の価値を下げ、結果として価格も下げている。

 多くのコンビニエンスストアは、機会損失を極度に嫌う。だから、コンビニの棚にはコンビニ弁当やおにぎりなどがあふれかえっている。しかし、賞味期限切れの食材も出てくる。そこで、賞味期限切れ間近の商品は、店舗の負担で泣く泣く廃棄してきた。

 世間から「食べられるのに捨てるのは問題だ」と批判され始めたことで、例えばセブンは賞味期限切れ間近の食材をポイント還元して売り始めている。機会損失を怖れて多めに売ることで、いろいろな問題が起こってくるということだ。

1/5ページ

最終更新:11/6(水) 16:49
東洋経済オンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事