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〈叩かれ女の歴史〉90年代と比べて変わってきた「あざとい」の意味

11/6(水) 19:00配信

週刊女性PRIME

「雉も鳴かずば打たれまい」のスタンスが芸能界にもスポーツ界にも蔓延している今日このごろ。優等生発言だらけというのも不健康だが、ちょっとでも失言しようものならSNSという武器を手にした民衆は、黙っちゃいないわけで。特に女性はたったひと言、食べ方、箸の持ち方ひとつでメッタうちに。「叩かれる女」について遡って考えてみる。

ドラマの役柄にバッシングの嵐

 テレビが輝かしくメインメディアだった1980年代。このころは「芸能人は庶民が崇めたてまつる存在」。バッシングはあっても対個人ではなく、「PTA的見解による抗議」に近かった。

 不道徳や不謹慎、不条理には、ある一定の層が抗議の手紙を寄せた程度。

 なかには、男性アイドルのファンが共演者の女性タレントに猛烈な嫌がらせ(ファンレターにカミソリなど)をした話はよく聞いたが、バッシングではなく、嫌がらせの犯罪の類である。

 アイドル女優の草創期でもあり、たとえ棒演技でも叩かれなかった、いい時代でもある。朝ドラ『澪つくし』の沢口靖子、『スチュワーデス物語』の堀ちえみ、『ヤヌスの鏡』の杉浦幸は叩かれるどころか、別のベクトルで愛でられたのだから、みんな寛容だったのだ。

 そして'90年代は、「ドラマの役柄で叩かれる」時代に突入。役自体が女性たちから総スカンをくらい、本人もあおりを受けるという不幸な時代に。『東京ラブストーリー』の有森也実は、優等生女子的キャラだが、織田裕二を毎回おでんやら鍋やらで引きとめたり転がしたりというあざとさが女性たちの癇に障った。

 初めはノー天気な鈴木保奈美のほうが苦手という人も多かったが、有森のウエットなあざとさに女性たちの間では嫌悪感はぐんぐん上昇。叩かれるまではいかないにしても総スカンだった。

 なんといっても最大に叩かれたのは『ポケベルが鳴らなくて』の裕木奈江である。バッシング女優としてはレジェンド級。上目遣いで小首をかしげ、処女性を武器に年配の男(緒形拳)をおとす驚異の技。もちろん「友人の父親と不倫」という役が最大の理由だが、その後、裕木奈江自体が盛大にバッシングされ、表舞台から姿を消したのだ。

 そのちょっと前に放送されたドラマ『誘惑』の紺野美沙子、『想い出にかわるまで』の松下由樹も、不倫・略奪愛をする役だったが、策士であり、真っ向勝負の姿勢にはむしろ称賛の声もあったほど。裕木の場合、カマトトな一挙手一投足があざとく、全国の女性をイラつかせてしまった。まじめに仕事をしただけなのにね。キーワードは「あざとい」「ぶりっ子」にある。

 しかし、2000年代に入る手前で、異変が起こる。覚えているだろうか、ミッチー・サッチー騒動を。浅香光代が野村沙知代に噛みついて、ワイドショーも女性週刊誌もこの熟女バトルを煽りに煽った。金銭に関する不透明な部分、学歴詐称などサッチーの私生活は総バッシング。芸能人や有名人のプライベートを吊るし上げるのが、庶民の娯楽となったひと幕でもある。

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最終更新:11/7(木) 14:06
週刊女性PRIME

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