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楽天の要職就任を断った平石前監督。その『覚悟』は本当にすごいと思います/デーブ大久保コラム

11/7(木) 11:06配信

週刊ベースボールONLINE

 すごく昔のことに感じますが、2週間前の日本シリーズは、ソフトバンクが巨人に4連勝して、あっけなく終わってしまいました。

楽天・石井GMはなぜ経験の少ない人材を首脳陣に集めたのか?

 その日本シリーズ中にも各チームのさまざまな人事が進んでいました。デーブ的に気になったのは古巣・楽天。平石(洋介)監督が契約満了の1年で退任し、二軍監督の三木(肇)監督が誕生しました。

 昨季6位のチームを、Aクラス入りさせた平石監督。私の感覚として、最下位のチームが3位に入るというのは並大抵のことではない。それでも1年限りでの監督交代。推測で申し訳ないのですが、石井(一久)GMの目指す野球と平石監督の采配にズレがあったのではないでしょうか。GMは何も言わず平石監督に采配を1年間任せた。その中でGMが目指す野球とは違ったのでしょう。そうとしか考えられないです。

 平石監督の中では、来年こそは、という気持ちでいたと思います。しかし、石井GMのおメガネに叶わなかった。こればかりは仕方がないことです。そして、石井GMは、二軍統括というチームの根源を担う要職の打診をしました。でもやはり一軍監督を経験したプライドがあるのでしょう。これを受け入れず退団の道を選びました。この決断に平石監督の「意地」を見ましたね。

 多分、楽天側は、この要職についてどういう形でやっていくのか、はっきりとしたプランが見えていない状況で、打診したと思います。これもデーブ推測ですが、平石監督の中に一軍のトップまでやったのに、もう一度二軍? と思ったはずですし、生半可な決意で一軍の監督は受けていないと思います。それを踏まえて断りを入れ退団したのでしょう。

 皆さんの場合で考えてください。会社を突然クビになったあとに、これから作る新部署でもう一度働いてほしい、と会社側から言われたらどうしますか? ほとんどの人は無職になりたくないでしょう。それを受け入れ、もう一度、働かないですか? しかし、平石監督は堂々とそれを断って潔く退団した。

 ここに平石監督の「意地」があったと思います。昨年の監督代行と今年の監督を務めた上での「自信」があったのだろうと思いましたね。この行動は、潔ぎよくないですか?

 私は彼と楽天で監督とコーチの立場で仕事をしました。ただ、指導者としての「覚悟」を、当時はまだそこまで感じられなかったのも事実です。一方で、選手のことを最優先に考えるいいコーチでした。それを見ているだけに依頼された職を引き受けてもよかったのでは、とは思っていました。しかし、今回の件で、私よりも数倍の「覚悟」を持って戦っていたんだと感じました。

 だからこそ「平石カッコいいよ」と言わせてもらいます。

 さてデーブ的には石井GMの気持ちや考え方も分かるので、それは次号で話します。

『週刊ベースボール』2019年11月18日号(11月6日発売)より

PROFILE
大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。

週刊ベースボール

最終更新:11/7(木) 13:23
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