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時短化粧品で資生堂が新市場を開拓できた理由

11/7(木) 6:15配信

プレジデントオンライン

専用マシンに手をかざすと、その日の肌の状態に合った保湿液がブレンドされて自動で出てくる。百貨店で購入するのではない全く新しいタイプのスキンケアが登場。美容に対して意識が高いとは限らない人からの注目が熱いというが、その中身とは? 

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■利益率が高い「替え刃モデル」とは

 もうすぐ、令和初の年賀状を準備するシーズン。自宅のプリンタで印刷を考えている方々は、そろそろインクを買い足そうとする時期でしょう。

 ただ、いざ売場やショッピングサイトで価格を見ると、「プリンタ本体は安くなったのに、インクは結構高いな」と感じる方も、多いのではないでしょうか。

 それもそのはず。マーケティングの世界には、数十年前から「替え刃(Razor and blades)モデル」という言葉が存在します。

 元々は、カミソリの替え刃を発明したジレットが、「まず商品本体(カミソリ)を安く売ることで多くの顧客を囲い込み、その後の替え刃を高額にすることで利益が上がるようにしよう」と考えたビジネスモデル。

 その後、「電動歯ブラシと替えヘッド」(ブラウン)や、「家庭用ゲーム機とゲームソフト」(任天堂)、あるいは「インクジェットプリンターとインクカートリッジ」(キヤノン)など、替え刃モデルによって成功を収めた事例は、枚挙にいとまがありません。

 最近では、コーヒーマシン本体を無料レンタルで借りて、使ったカプセル(コーヒー等)の分だけ費用を支払う「ネスカフェ アンバサダー」(ネスレ日本)も、人気が高いですよね。

■美容業界から誕生した2019年版替え刃モデル

 今年7月にサービスの本格展開を開始した、IoT(モノのインターネット化)スキンケアブランド「Optune(オプチューン)」(資生堂ジャパン)も、ビジネスとしては替え刃モデルの一種と言えるでしょう。専用ページで会員登録し、定額プラン(月額1万円(税別))に申し込むと、後日、選ばれた5本のスキンケアカートリッジとともに、洗顔後のスキンケア(保湿液)を提供する専用マシン(レンタル)が届きます。

 ただし、昔ながらの替え刃モデルとの決定的な違いは、「そのときの自分に適した、自分にピッタリのスキンケア」ができること。それを可能にしたのが、IoTのテクノロジーと、「サブスクリプション(サブスク)」と呼ばれるサービス形態です。

 サブスクについては、以前も「エアクローゼット」の回(「忙しい人ほど“借り放題”の虜になる理由」)にお話ししましたよね。モノやサービスを利用する際に、その都度料金を支払うのではなく、一定期間契約し続けること。「定額制」とも呼ばれ、「利用すればするほど、安くなる」と捉える方もいますが……、実はサブスクの最大のメリットは、そこではありません。

■サブスクの意外で大きなメリット

 近年は、ビッグデータを活用できる時代。膨大なデータを蓄積・駆使することで、ユーザー個々人に合った最適な商品やサービスを「リコメンド(お薦め)」することも可能になりました。つまり、1つの店や企業の商品、サービスを長く(あるいは何度も)使えば使うほど、パーソナライズされたデータが蓄積され、提供者側の企業や店は、ユーザーの好みや性質がよりリアルに分かってくる。

 サブスクのメリットも、基本的には同じです。

 私はよく「恋愛」に例えます。たとえば初めてのデートの際。彼氏はあなたがどんな嗜好なのか、映画館が好きなのか、アウトドアデートがしたいのかさえ、たぶん明確には分かりませんよね。

 でも長く付き合えば、「彼女はこういう店が嫌いなのか」や、「この言葉は“地雷(NGワード)”なのか」まで、よく分かってくる。

 その後の彼氏は、あなた自身が認識していないことまで、「ひょっとして、こういうのが好きなのでは? 」と、気づいてくれるかもしれません。そうなれば、あなたはきっと「さすが、私のことを分かってくれる」や、「この人とずっと一緒にいたい」と思うはずです。

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最終更新:11/8(金) 12:35
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