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松根油、航空燃料復活の可能性

11/8(金) 18:05配信

Japan In-depth

■ 再生可能エネルギー

第3が再生可能エネルギーの利点である。

航空燃料はグリーン化が求められている。飛行機はCO2排出量が問題視されている。そのため民間航空はバイオ燃料導入を進めている。軍隊もその流れに追従している。米海軍省は10年前から戦闘機や軍艦へのバイオ燃料導入を試みている。

松根油燃料はこの時流に沿っている。高比重燃料では唯一のカーボン・ニュートラルだからだ。

材料は特殊ではない。松根油は松の根以外からも採取できる。針葉樹であれば製紙チップや製材端材からも副産物としても得られる。テレピン油や残渣のロジンはそのようにして商品化されている

やや離れるが原油価格高騰への対処ともなりうる。松根油は原油由来ではない。また天然ガスや石炭といった化石燃料の生産や消費と競合しない。また種子油脂を主原料とするバイオ燃料とは異なり食料資源とも競合しないのである。

■ ベース燃料としての利点

松根油燃料の利点は以上のとおりである。

なお、さらなる性能向上の方策もある。比重1.1のアダマンタンや1.3のキュバンといったワックスの溶解や固体炭素やアルミ、ホウ素のナノ粉末混和による性能向上である。松根油燃料にホウ素を3割混和させれば容積熱量は従来燃料の50%増となる。

もちろんブレンドは他燃料でも可能だ。ただベース燃料としても松根油は安価であり再生可能である。その点でも優れている。

なお、高比重燃料に関しては以前に『軍事研究』に発表している。
文谷数重「『高比重燃料』軍用ビークルの燃費革命」『軍事研究』2018年5月号(JMR,2018)pp.182-194.
その元となった同人誌『高比重燃料の活用』に関しては以下の通販で頒布中である。

https://ec.toranoana.shop/tora/ec/item/040030773469(とらのあな)
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=561205(メロンブックス)

(※1) 正確には総称してガスタービン・エンジンと呼ぶ。ジェットエンジン、ターボプロップ、ターボシャフトはガスタービンの下位概念である。

(※2) 重油そのものを使う例もある。船舶・発電機のヘビー・ガスタービンでは常温残渣油に近い粗悪な黒重油を用いた例もある。また航空エンジン転用型でもオイルショックの時代にはジェット燃料と重油を混和した燃料を利用した例もあった。

(※3) 潘倫ほか「高密度航空航天燃料合成化学」『科学進展』27(11)(北京,中国科学院基礎科学局,2015)pp.1531-1541.

(※4) 松根油の燃料化操作の詳細は以下に詳しい。
     Meylemans,H.A etal“Efficient conversion of pure and mixed terpene
feedstocks to high density fuels“ “Fuel“ 97 (Oxford,Elsevier,2012) pp.560-568.

文谷数重(軍事専門誌ライター)

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最終更新:11/8(金) 18:05
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