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「常在現場」で会社変える 元キリンのヒットメーカー、湖池屋社長の新機軸

11/8(金) 8:10配信

NIKKEI STYLE

《連載》私のリーダー論

ポテトチップスなどで知られる大手菓子メーカーの湖池屋。しかし、首位カルビーのシェアは圧倒的で、長らく2位に甘んじてきた。その湖池屋が変貌を遂げようとしている。大人向けなど独自路線のスナック菓子を次々発表し、業績も好調だ。新風を吹き込んだのが、創業家から経営を引き継いだ佐藤章社長(60)。敏腕マーケターとして名をはせ、キリンビールで取締役常務執行役員、キリンビバレッジで社長を務めた佐藤社長は自他共に認める「社員と一緒に動くリーダー」だ。

■どんどん現場へ

――「佐藤社長はじっとしていない」と聞きます。

「僕は自分で動いちゃうんですよ。座右の銘は『隗(かい)より始めよ』。物事は言い出した者から始めよという意味です。人にあれこれ言う前にまず自分でやって見せる。特に今の若い世代にはそういうリーダー像が必要だと思っています」

「今はマーケティング、海外市場に加えて生産、物流、営業もみることになったので、これ幸いと社内外を動き回っています」

――社員の席にも頻繁に顔を出すとか。

「どんどん行きます。最初は驚いていましたね」

――何を話したり聞いたりするのですか。

「商品開発のヒントを話したり、お客様相談センターへ行って『お客様からの苦情や意見はどんな感じ』と尋ねたりもします。動き回って聞くから、あっという間に僕の耳に情報が入ります。地獄耳だといわれています」

■カテゴリーを知らなくても、どんな商品がまだ無いかが見えてくる

――なぜ「動くリーダー」になったのですか。

「ものづくりの会社では、現場感覚が不可欠です。とにかく顧客を向いていないと売れる良い商品はつくれませんし、売れません。特に商品開発は、いくら理屈を立てて話しても、なかなかわかってもらえるものではないと僕は思っています。それよりも、現場で一緒に考えることが、次の世代の人たちがそのプロセスを実体験するきっかけになるのではないかと考え、どんどん現場で一緒に動くようになりました」

「僕はキリンビールとキリンビバレッジで商品開発を長く担当しました。『生茶』や缶コーヒーの『ファイア』などヒット商品にも恵まれました。キリンを退社後、日清食品ホールディングス最高経営責任者(CEO)の安藤宏基氏から声がかかり、同社の業務・資本提携先である湖池屋に入りましたが、商品がスナック菓子に変わっても応用できるメソッドはほぼ同じです」

――飲料とスナック菓子とでは、全く違うように見えますが。

「商品のエビデンス、ベネフィット、パーソナリティーを考えるんです。エビデンスとは、ビールなら麦芽が何%のこういう飲み物だという条件のようなもの。ベネフィットは飲んだらどうなるか。そして、『ではビールとは』というパーソナリティーを考えます。お菓子も同じです。ポテトかコーンか。揚げるのか焼くのか。小腹を満たすのかお酒のつまみか」

「そういう目で見ると、スナック菓子というカテゴリーを知らなくても、市場のどこにどんな商品がまだ無いかが見えてきます。そうやって僕は、大人向けのポテトチップスとか、食事の代わりになる中食のようなスナック菓子がまだ無いなと仮説をたてる。一緒に動くことで、そういうプロセスを、若い世代に伝えたいと思っています」

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最終更新:11/8(金) 8:10
NIKKEI STYLE

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