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プライドが高く、頑固…「シニア人材」に手を焼く管理職の嘆き

11/8(金) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

60歳を定年退職とする企業がいまだに多い一方で、日本人の平均寿命は、毎年最高記録を更新していく。時代の変化に合わせ、「シニア人材」として雇う企業も増えてはいるものの、賃金の低下や降格など、「ただ消費されるだけ」の扱いに、辟易している人も多いことだろう。そこで本記事では、人材育成/組織行動調査のコンサルタント・西村直哉氏の著作『世代間ギャップに勝つ ゆとり社員&シニア人材マネジメント』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、シニア人材の現状を解説する。

シニア人材「文句ばかりが多い。話しかけづらい」

以下に掲げるのは、現役の管理職からヒアリングしたシニア人材の長所です。すべてのシニア人材に当てはまるわけではないでしょうから、あくまでも一つの意見として聞いてください。

「知識と経験とスキルがあって、過去のシステムなどが出てきたら右に出る人がいない」

「真面目で責任感が強く、自分の仕事はきっちりと時間通りに終わらせる」

「過去に管理職だっただけあって、部下指導もしてくれるし、リーダーシップがある」

「職場の雰囲気を向上させてくれるムードメーカーになってくれる」

「コミュニケーション能力が高く、後輩に対しての面倒見が良い」

「会社への忠誠心が高く、仕事も丁寧で意識が高く、若手社員のお手本になってくれる」

「何でも頼めば快くやってくれる。頼られることを意気に感じているようだ」

「いつも落ち着いていて、慌てず、頼りになる」

一方で、シニア人材について困っている点についてもヒアリングしたところ、次のような声が集まりました。

「仕事に対して消極的で、与えられた仕事しかしようとしない。もう現役じゃないし、そこまでやる義理はないと、一歩引いて仕事をしている感じがする。責任も持ちたがらない」

「プライドが高く、頑固で、自分の主張を曲げず、文句ばかりが多い。話しかけづらい」

「病気持ちの人が多く、仕事を休みがちである」

「賃金に対する不満があって、お金の話ばかりしている。話も長い」

「新しい仕事、嫌いな仕事はやりたがらず、仕事に対して欲がなく、やる気もない」

「新しい商材やシステムに抵抗を示し、昔のやり方に固執する」

「物忘れやミスが多く、マイペースで、全体に生産性が低い」

「休憩時間が長く、定時の10分前には帰り支度を始める」

シニア人材の長所と矛盾するような短所もありましたが、おそらく個人差も大きいのでしょう。これらをまとめると、シニア人材には以下のような問題があることが分かります。

(1) 下がった給料に対する不満があり、仕事の手を抜いてしまう

これまで60歳定年で制度設計をしていたところを、65歳まで雇用しなければならなくなったため、会社に負担がかかることは彼らも理解しています。また、年功序列を前提に設計された50代までの給与が、仕事の成果と連動したものではないことも頭では分かっていることと思います。

それでも、まったく同じ仕事をしているのに3分の2や半額になった給与明細を見れば、感情的に納得がいかないのは当然です。給与について感情的に自分を納得させるために彼らが取る戦略が、給与の下がった分、自分への負担を意識的に減らすことです。

たとえば「残業はいっさいしない」、「仕事は時間優先で終わらせる」、「責任のある仕事はできるだけしない」、「リスクの高い仕事もできるだけしない」、「大変そうな仕事もできるだけしない」、「言われたことだけやる」、「自分の仕事の範囲を決めて、他人の仕事は手伝わない」、「新しいことは覚えず、勉強もしない」、「時間外の会社イベントにも行かない」など。

給料や処遇に対する不満があり、その不満が顕在化すると、このような傾向が出てきます。言い換えると、これらはシニア人材の特徴というよりも、「自分の働きに対して給与が少ない」と感じている人が、年齢に関係なく取りがちな行動です。

ただし、シニア人材の場合、実際に以前はそれだけの給与をもらっていたわけですから、ただの不満分子と一緒にするのは酷です。

現在の状況は、新たな人事処遇制度や賃金体系改善の過渡期であるために起きているものだと考えられます。日本の企業は終身雇用を前提に、若いうちの給与は低く、年を取るにつれて給与が高くなっていく年功序列制度を採っていました。そのため、役職定年前の50代の社員は、その仕事の成果に比べると高い給与をもらえることになっています。

これは60歳定年を前提とした制度設計ですから、そのまま65歳まで延長することは困難です。最初から65歳定年を前提としていれば、このような問題は起こらなかったのです。もちろん、シニア人材のすべてがこうなるわけではありませんが、その改革はまだ始まったばかりです。このような理屈は、シニア人材も理解はしています。

たとえば25歳の若手社員の給与が年300万、55歳のシニア人材の給与が年900万だったとして、シニア人材が若手社員の3倍の利益を会社にもたらしているかといえば、自信をもってうなずける人は少ないでしょう。それが分かっていても「明日から給与は減らすけど、昨日までと同じ働きをしてね」と言われると納得できないのが人間です。

一方で、事情をすべて呑み込んだうえで給与が減っても同じ働きをしてくれるシニア人材も少なくありません。彼らは愛社精神が強く、月単位の給与ではなくこれまでの長年の会社との関係で受けた恩を残りの期間で返そうとしてくれるので、減額がそれほどモチベーションに影響しません。

ただし、そのような人材が少数派であることへの理解は必要です。

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最終更新:11/8(金) 11:00
幻冬舎ゴールドオンライン

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