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新インフル薬「ゾフルーザ」 「12歳未満への投与慎重に…」学会提言の意味とは?

11/8(金) 8:10配信

オトナンサー

 インフルエンザの新たな治療薬として注目されている「ゾフルーザ」について日本感染症学会が10月24日、「12歳未満の子どもについては投与を慎重に検討すべきだ」などとする提言を発表しました。ゾフルーザについては以前から、服用した患者から耐性ウイルスが出現する場合があることが指摘されていましたが、今回の提言にはどのような意味があるのでしょうか。薬剤師の竹中孝行さんに聞きました。

RNA複製における最初の反応を阻害

Q.そもそも、ゾフルーザとはどのような薬でしょうか。

竹中さん「ゾフルーザは、2018年3月に塩野義製薬から発売された新しいインフルエンザ治療薬です。錠剤タイプで、1回の服用で効果が期待できるのが特徴です。

ウイルスが増殖するには、遺伝子をつかさどるRNA(リボ核酸)を複製する必要がありますが、そのRNAを複製する過程の最初の反応をゾフルーザは阻害します。すると、増殖に必要なタンパク質が合成できないため、ウイルス粒子を形成できなくなり、結果的に、細胞内でのインフルエンザウイルスの増殖を抑制できます。従来の治療薬とは異なる『キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害』という新しい作用の仕組みです」

Q.インフルエンザ治療薬としてはほかに、タミフルなどが知られています。ゾフルーザとの違いを教えてください。

竹中さん「一般的なインフルエンザ治療薬としては、タミフル、イナビル、リレンザがあります。これらの薬は『ノイラミニダーゼ阻害薬』といい、ウイルスが増殖するために必要なノイラミニダーゼという酵素の働きを阻害し、細胞内で増えたウイルスが細胞外に出る過程を阻むことによって感染の拡大を抑える薬です。薬によって服用方法に違いがあります。

・タミフル(一般名:オセルタミビル):1日2回5日間の経口
・リレンザ(一般名:ザナミビル):1日2回5日間の吸入
・イナビル(一般名:ラニナミビル):1回の吸入

ゾフルーザはイナビルと同様に、服用1回でも、これらの薬と同程度の効果を期待できます。また、ウイルスの感染能力を早期に減少させるため、感染を広げてしまう可能性を抑える効果が期待できます。イナビルやリレンザのような吸入ではなく経口投与であるため、特殊な吸入方法の説明なしに服用できるのもメリットです。一方、新薬で、臨床での使用が少ないためにデータがそろっていないことがゾフルーザのデメリットであり、服用には慎重を期す必要があります」

Q.12歳未満の子どもについて、使用を慎重にすべき理由とは。

竹中さん「日本感染症学会は、ゾフルーザは耐性ウイルスが出やすいことを課題として議論し、12歳未満の子どもについて投与を慎重にするなどとした提言をまとめました。内容は以下になります。

(1)12~19歳および成人:臨床データが乏しい中で、現時点では、推奨/非推奨は決められない。
(2)12歳未満の小児:低感受性株の出現頻度が高いことを考慮し、慎重に投与を検討する。
(3)免疫不全患者や重症患者では、単独での積極的な投与は推奨しない。

(2)のように、12歳未満の子どもは耐性ウイルス(低感受性株)が大人より多く検出される傾向があるため、ゾフルーザの使用は慎重にすべきとしています。耐性ウイルスが出現すると治療が長引き、回復までに時間がかかります」

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最終更新:11/8(金) 13:04
オトナンサー

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