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国保料引き上げの真犯人、「ムダな医療費」を貪る人々の正体

11/8(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● 国民健康保険料の引き上げは 本当に「仕方ない」のか

 2019年10月30日、厚労省の社保審・医療保険部会は、2020年、国民健康保険料の課税限度額を3万円引き上げる方針を示した。国民健康保険料は、ある程度は所得に比例する仕組みとなっているが、「年間所得2000万円の世帯は、年間所得400万円の世帯の5倍」となるわけではなく、課税限度額という“天井”がある。

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 この“天井”を引き上げ、「高額所得者には所得に見合う国民健康保険料を払っていただきましょう」というのが、現在検討されている改定の趣旨だ。同時に、中間所得層の負担を軽減する措置も検討されている。

 しかし、10月1日に消費税率が8%から10%へと引き上げられてから、1ヵ月も経っていない。正直なところ、「また?」と言いたくなるが、高齢化が進行する日本で、増大する医療費が国家財政の大きな負担になり続けているのは事実である。国民健康保険が破綻すると、必要なときに医療を受けることはできなくなるかもしれない。日本の国民皆保険制度と良好な医療アクセスは、世界に誇るべき日本社会の宝物、社会の健康を底支えする重要な土台だ。

 現在は「社保完」の会社員も、退職後はいつか、国民健康保険または後期高齢者医療のお世話になる。国民健康保険を維持するために必要な負担なら、「痛いけれど、仕方ない」と受け入れるしかないのかもしれない。

 しかし医療費の内訳や削減の仕方には、数多くの疑問を感じている。それは、「医療費が無料だからといって、ムダな医療を欲しがる生活保護の人々」という都市伝説にも通じている。

● 多くの精神科入院患者は 誰のために必要なのか

 まず気になるのは、精神医療の医療費だ。

 精神科病院の入院患者数は、世界において日本の「悪名が高い」点の1つだ。2017年度、日本には約28万人の精神科入院患者がいた。この人数は、全世界の精神科入院患者の約2割にあたる。しかも、平均入院日数は2014年に281日で、世界ダントツの長さであった。

 日本に次いで平均入院日数が長いのは韓国だが、それでも同年に125日だった。他の先進国には50日を超える国はない。公費による医療が比較的充実している国々では、平均入院日数はやや長めになる傾向があるが、それでも30~45日程度にとどまる。

 1970年代に法律で精神科入院を原則禁止して「どうしても」という場合に厳しく制限したイタリアや、米国のように高額化した入院医療費が退院を促進してきた国では、平均入院日数は10~20日前後となる。これらの国々では、家庭や地域から長期にわたって離れること自体が社会復帰の阻害要因になるということが、広く認識されている。

 「日本人は精神疾患にかかりやすく重症化しやすい」という事実はない。長年にわたって、入院を短期化する努力が続けられており、精神医療そのものも進歩している。1990年ごろの平均入院日数が約500日だったことを考えると、2014年に281日まで短縮されていたことは、むしろ大きな進歩であろう。

 しかし2014年、約18.5万人が1年以上にわたって入院していた。このうち約10万人は、5年以上の入院であった。長期にわたる入院は、それだけで大きな医療費負担となる。1年間の精神科入院に必要な医療費は、少なくとも500万円~600万円程度と見積もられる。すると、10万人分の入院医療費だけで、5000~6000億円となる。

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最終更新:11/8(金) 10:00
ダイヤモンド・オンライン

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