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働き方からファッションまで。世界一周をする男たちが見た日本<乙武洋匡×東松寛文対談 第3回>

11/8(金) 15:52配信

週刊SPA!

 世界一周の旅……。言葉だけ聞くと実現不可能に思える壮大な旅だが、かたや車椅子、かたやサラリーマンでありながら、それを実現させた男たちがいる。

「幸せの国」では障がい者も幸せ?

 そんな世界一周ライフを続けているのは、『ただいま、日本』でその様子を描いている作家の乙武洋匡氏。そして、「リーマントラベラー」として、平日はサラリーマン生活を送っている東松寛文氏だ。

 前回に引き続き、彼らが世界一周にかける思い、そしてその裏側を語り合う。

東松寛文氏(以下、東松):「乙武さんの『ただいま、日本』を読んで共感したのが、キューバの話ですね。雨宿りを手伝ってくれた人にチップを断られたという話。僕も行ったときに思いましたけど、キューバって貧しいイメージがあったのに、ご飯をご馳走になったり、急にダンスパーティが始まったり、靴を洗ってくれたり……。

 お金でも払おうかと思ったけど、そんなんじゃない。『楽しんでね』って感じで。そうじゃないところもあるけれど、けっこう共通のスタンダード。それを思い出しましたね」

乙武洋匡氏(以下、乙武):「今年の正月にブータンへ行ったんです。幸せの国というイメージがあるけど、障がい者も幸せなのかなと思って施設に行ったり、取材をしてみた。すると、障がい者福祉って概念がまったく進んでいなかったんです。

 近所の人にボコボコに殴られるとか、学校に通える状況じゃなかったりとか、ここ数年になって、ようやく『これって社会問題だよね?』って言われだした。『幸せの国』と言われているけど、少なくとも障がい者に関してはそうでなかったと思い知らされました」

海外に行って日本を見る物差しが増えた

東松:「僕は日本にいるときはサラリーマンの生き方しか知らず、社会のレールに乗っかってきて、海外に行くといろんな生き方があって選択肢があるんだと思った。それを知ったからこそ、今の自分の生き方を見つけられた。

 会社のなかでやりたいことを見つけなきゃいけないという先入観があったけど、別に自分が納得してればどれやってもいいんだと思って、少しずつ自分らしく生きられるようになったんです。だから僕は、いろんな生き方を知るというのが旅をするテーマとしてあるんですけど、乙武さんは何かテーマがあるんですか?」

乙武:「僕は大テーマとしては、自分がいろんな経験をして多様な価値観を僕自身が身につけていくこと。それによって逆に、日本という社会を見るときの物差しの種類が増えていくという感覚はある。

 たとえば、『ただいま、日本』で描いた旅では、ロンドンに3か月、ニューヨークに2週間行ったんですけど、ちょうどロンドンが春先、ニューヨークが秋口だった。で、どちらも街中で行き交う人の服装がバラバラ。革ジャンの人にすれ違ったと思えば、タンクトップ1枚の人にすれ違ったりする。最初はギョッとしたけど、でもたしかに、人の温度感覚はそれぞれだから、別に自分にあった服を着ればいいなって気づかされた」

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最終更新:11/8(金) 15:52
週刊SPA!

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