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部位別死亡数3位は胃がん「ピロリ菌の脅威」への認識不足か?

11/9(土) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

ピロリ菌と胃がんの関係性が明らかになっていながらも、胃がんは日本の部位別死亡比率の多くを占めています。今回はその理由について見ていきます。本記事では、藤田胃腸科病院理事長・院長の本郷仁志氏が、胃腸の健康に関する正しい知識や、氏が普段の診療の中でアドバイスしている健康維持の秘訣等を紹介します。

衛生環境が改善された現代でも感染するリスク

40代以上は、ピロリ菌保持者の可能性を疑うべし

もちろん、ピロリ菌に感染した人すべてが胃がんになるとは限りません。感染していても症状が出ない人も少なくはないのです。それでも「脅威」として考えるか考えないかは大きな分かれ目といえるでしょう。

「でも、自分の周りでピロリ菌に感染している人は聞いたことがないけど?」

と楽観的に考える人もきっといるはず。しかし、具体的な数字を出せば、日本人でピロリ菌に感染している人は約3500万人といわれています。「自分は感染しているはずがない」と楽観できるレベルの数字ではないということです。

また、若い人には少なく、10代から30代は3~15%程度といわれています。上下水道の普及が十分ではなかった時代に生まれた中高年以上の方に感染者が多いという事実があり、このことから幼児期の衛生環境によって感染率が高まることが指摘されています。

だからといって「自分は若いから大丈夫」と思うのは賢明ではありません。以前、当院に17歳の患者さんが胃カメラおよび(できれば)ピロリ菌の検査を受けたいと受診されたことがあります。「若いのに珍しいな」と思って理由をうかがったら、お兄さんを胃がんで亡くされたからとのことでした。

その患者さんのお兄さんは19歳で発症し、20歳で亡くなったそうです。近しい家族が胃がんで亡くなると、ピロリ菌検査の重要性が身にしみて感じられるはずです。

ピロリ菌に感染するのは、免疫機能が未熟な5歳までとされています。その期間内に感染してしまうと、そのまま定着し、除菌をするまで胃の中に定着し続けると考えてください。

上下水道が普及し、衛生環境が改善されている今は安心・・・と言いたいところですが、ピロリ菌は経口感染です。例えば、おじいさん、おばあさんが、お孫さんに口移しで食べものを与えたりした際に、意図せず感染させてしまうということもあるのです。

当人にとっては愛情表現かもしれませんが、実は胃がんの種を植え付けているのと同じこと。乳幼児を持つ方は特に気を付けるようにしてください。ピロリ菌を次の世代に伝えないことは、高齢の世代の責任なのです。

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最終更新:11/9(土) 10:00
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