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誰も知らない、井上尚弥の限界 抜群だった“心の作り方”、怪物は「目標を持たない」

11/9(土) 8:13配信

THE ANSWER

底知れない成長意欲「自分でもどこまで強くなるのか楽しみ」

 ボクシングのWBA・IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)が、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)の同級決勝でWBAスーパー王者ノニト・ドネア(フィリピン)に3-0の判定勝ち。自身3年半ぶりとなった12ラウンドの死闘を制し、優勝を飾った。これまでのスピードKOだけでなく、耐久力を含めた長期戦の素質も証明。どこまでも強くなる26歳はモチベーションの“置き所”を語っていた。

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「ベルトをそろえることが目標なら達成感があるけど、目標を持たないようにしている。“ここが目標”とかはない。この先、(目標を)達成することはないかもしれないですね」

 6月末のことだった。井上は満足感を味わったことはないのだろうか。これまで獲得した主要4団体(WBA、WBC、IBF、WBO)と権威ある米専門誌「リング」認定のベルトをお披露目。横浜市内の所属ジムには大勢の報道陣が集まった。輝かしい実績を示す勲章だが、井上は5本のベルトを眺めながら言い切っていた。「嬉しいけど、満足するのとは違う」。燃え尽き症候群という言葉には、一生出会うことはなさそうだった。

 常に強い相手を求めてきたキャリアがある。2012年の大橋ジム入門時、井上の希望で「強い相手とやる」ことが契約の条件につけられた。スーパーフライ級時代は強すぎるあまり対戦を断られ続ける悲哀を経験。18年からタレントの多いバンタム級に転向した。

 初戦となった昨年5月のWBA王者ジェイミー・マクドネル(英国)は、井上にとって「過去最強の相手」と謳われていた。しかし、井上が5度の防衛を誇る王者を112秒で瞬殺。当時日本最速16戦目で3階級制覇を達成したが、「まだ何かしたとは思っていない」と当たり前のように言った。記録や肩書は関係ない。底知れない成長意欲に度肝を抜かれたことを覚えている。

 マクドネル戦後、選ばれた強者が集まるWBSSに参戦した。昨年10月の初戦、元WBAスーパー王者フアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)に70秒KO勝ち。5月の準決勝でも、無敗のIBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を259秒KOでリングに沈めた。2戦とも、試合前に「過去最強の相手」と称されていたが、ハイレベルのパフォーマンスで超速決着だった。

 ここ数試合の合間には、試合時間の短い圧勝劇の繰り返しで「課題がわからない」と贅沢な悩みを明かし、「どっちが勝つか、見ている人がわからないくらいヒリヒリする試合をしたい。そういう試合の方が自分の限界を引き出すし、成長できる」と強者の出現を願っていた。そして、またも「過去最強」として現れたのが、ドネアだった。

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最終更新:11/9(土) 8:13
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