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「便秘」が引き金になる7つの怖い病気、プレスリーの死因説も…

11/9(土) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 便秘で悩む人は多いが、医師でさえも「便秘は病気ではない」と思う人がいるほど、世間では「軽く」見られがちだ。しかし、決して侮れない病気であり、重大な病気の引き金になることもある。便秘医療の実態について、横浜市立大学大学院医学研究科・肝胆膵消化器病学教室の中島淳主任授に取材した。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

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● 「便秘は病気ではない」と 名医さえ侮っていた

 「便秘は怖い病気、侮ってはいけません」――横浜市立大・肝胆膵消化器病学教室の中島淳主任教授は力説する。日本では、実に1700万人以上、国民の7人に1人が便秘で苦しんでいると推測されており、中には生命にかかわる危険な便秘もあるというのに、「患者さんも、医師さえも、『便秘は放っておけばいい』くらいの意識しか持っていない人が多過ぎる」と嘆く。

 なにせ長年、大勢の患者を治療してきた便秘医療の第一人者である中島教授自身でさえ、つい最近まで、「便秘など病気ではない。病院を受診する必要なんて全然ない」と思っていたというのだから、一般人の意識が低いのも仕方ないかもしれない。

 「2012年に、厚生労働省の偽性腸閉塞(ぎせいちょうへいそく)という難治性便秘の研究会で班長を務めたことがきっかけで、便秘のリスクを知り、かつ自分が便秘についてまったく理解していなかったことに気づき、愕然とさせられました」。

 偽性腸閉塞は、小腸がまったく動かなくなるため、ほとんど便を出すことができなくなる病気で、国内の患者数はわずか1300人ほど。極めて珍しいため、治療法はおろか、その原因も診断法も分かっていなかった。教授は、班長として研究を続けるうちに、「どうにか病気の見立てができるようになり、十分とはいえないものの治療も行えるようになった」。と同時に、日本の便秘医療の遅れを痛感し、「このままではいけない」と立ち上がったのである。

 今回、「ダイヤモンド・オンライン」で複数回にわたって、中島教授への取材を起点に、知っておくべき便秘の知識をご紹介するとともに、市中で日々便秘の診療にあたっているクリニックの医師にもご登場いただき、便秘医療の実例もリポートする。

 第1回の今回は、便秘が引き金になる、中高年世代の危険な病気について、解説してもらった。

● トイレで強く力むと血圧急上昇 「心筋梗塞」「脳溢血」に

 「キング・オブ・ロックンロールと称されたエルビス・プレスリーをご存じですか。彼は42歳の若さで、自宅トイレで心臓発作のために亡くなったとされていますが、主治医が『エルビスは慢性便秘で長年苦しんでおり、便秘が心臓発作の引き金になったのではないか』といった意味の発言をしたことから『エルビス・プレスリーの死因は便秘だった』と『デイリーニューズ紙』(米国のタブロイド紙)が報じました。

 真偽のほどは定かではありませんが、便秘が血管性の病気を引き起こす大きな原因であることは確かです」

 脳溢血(脳出血)や心筋梗塞といった血管性の病気を防ぐには、血圧のコントロールが重要という認識は今や世界的に進んでいるが、『血圧コントロールの盲点』ともいえるのが「便秘」だ。

 「便秘で硬くなった便をお尻の穴から外に出すには、顔を真っ赤にして力いっぱい力まなければなりません。この強く力むという行為が、血圧を上昇させ、動脈硬化などでもろくなった血管を傷害する要因になります。トリガーイベントと言うんですけどね。

 このように、高血圧や動脈硬化がある患者さんの血圧をいくらコントロールしていても、患者さんが便秘で苦しんでいたら、排便の時に血圧が上がって脳卒中や心臓発作を起こす可能性があることを医者は分かっています。だけど無関心。患者さんも、血圧が上がるという自覚はあっても、主治医に明かさない。便秘は極めてプライベートな秘め事、といった気持ちがあるからでしょう」

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最終更新:11/9(土) 23:25
ダイヤモンド・オンライン

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