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日本女性の4~8割が持つ「高濃度乳房」が乳がん発見を困難にする

11/11(月) 11:01配信

現代ビジネス

11人に1人が罹患する

 小林麻央さんや矢方美紀さんという若い世代が乳がんにかかったニュースが流れて以来、「乳がん検診を私も受けたほうがいいの?」「乳がん検診を受けてないから不安…」と悩む20代、30代の女性が数多くいらっしゃいます。今年9月には、上皇后美智子様が乳がんの手術を受けられ、早期発見だったことも報じられました。

【写真】「高濃度乳房」をレントゲンでみると

日本女性に最も多いがんは、乳がん。11人に1人が乳がんになると言われ、罹患率、死亡率ともに年々増加しています※1
。早期発見、早期治療が重要なことは言うまでもありません。 ※1 国立がん研究センターがん情報サービス

受ければいい、では思わぬ事態に

 ただ、がん検診は“受ければいいってものではない”ことをご存じでしょうか? 正しい検診を選んで受けないと、思わぬ事態を招くことだってあるのです。

 乳がん検診は、40歳から2年に1回のマンモグラフィ検査です。これがエビデンス(科学的根拠)のあるがん検診で、不利益より利益が上回る検診です。たとえば、乳がん検診を40歳未満の20代、30代の若い年齢で受けたり、2年に1回よりも短い間隔で受けると、不利益が上回ってしまうのです。

がん検診は、何歳から、どのくらい(何年に1回)の頻度で、どの検査を受けたらいいか、科学的根拠のもとに定められています。実はこれらの年齢と受診間隔には、検診による利益(がんによる死亡率の減少)があるとともに、検診による不利益が最も小さくなる内容が考慮されているのです。

 しかし、企業検診でお金のある健保組合では、「うちの会社は、女性社員全員に20代からマンモグラフィ検診を受けさせている」「うちの健保は乳がん検診は超音波とマンモグラフィを両方受けられる設定にしている」と鼻高々にうたっていることもあります。しかし、がん検診は、やりすぎると不利益を被ることだってあるのです。

再検査、精密検査のリスク

 乳がんによる死亡を減らせることが科学的に認められ、乳がん検診として推奨できる検査方法は、「マンモグラフィ単独」です。「超音波とマンモグラフィの併用」や「超音波単独」、あるいは「視触診単独」の乳がん検診では、死亡率を減らす効果を判断できる証拠が不十分なのです。そのため、これらの検査は、国が“がん検診で行うことは奨められない”としています。自治体検診(対策型検診)としての実施も奨めていません。

 乳房の「超音波検査」は、乳房のしこりを見つけやすい有用な検査ですが、しこりの中には良性のしこりもあり、特に20~30代の人が超音波を受けると、多くの人に良性のしこりが見つかる可能性が高まります。もちろん40代以上の人にもその可能性があります。

 しこりが見つかると、精密検査が必要になり、さらにマンモグラフィを受けて被曝のリスクを負うこともあります。また、精密検査では、乳房に針を指して細胞や組織を採取する、細胞診や組織診が行われます。特に組織診は、局所麻酔をして太い針を刺して組織をとる検査で、これが結構大変。体への負担も無視できません。超音波検査をすると、細胞診や組織診で針を刺す精密検査をする人が増えるのです。その結果、がんではなく、良性だったという人が数多く出てしまいます。

 がん検診の不利益はほかにもあります。心理的影響と経済的、時間的負担です。精密検査の結果が出るまで、「がんかもしれない…」と精神的に不安な状態になります。会社を休まなくてはならないなどの時間的負担や、精密検査の費用などの経済的負担も伴います。

 もしも、人間ドックなど(任意型検診)で国が推奨していないがん検診を行う場合には、死亡率を減少させる効果が不明であることや、利益よりも不利益が上回ることについて、医療者が適切な説明を行うべき、とされています。ですが果たして、どこまで説明されているか曖昧なのが現状です。

 乳がん検診が推奨されるのは40歳以上の“症状のない”女性です。しこりや乳頭分泌などの症状がある人、さらに血縁に乳がんや卵巣がんの方が複数いる人(家族性乳がんや遺伝性乳がんが疑われる方)は、年代にかかわらず(20~30代でも)、“検診”ではなく、乳腺外科を受診して“診察”で検査をしてもらうことが大切です。

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最終更新:11/11(月) 11:01
現代ビジネス

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