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機械が「におい」を覚える日がやってくる?

11/12(火) 12:26配信

WIRED.jp

グーグルには自社ブランドの香水がある。社内のある研究チームのオリジナル香水と呼んだほうがいいかもしれない。熟練のフランス人調香師たちの指導を受けて、ヴァニラ、ジャスミン、メロン、ストロベリーを組み合わせてつくった香りだ。

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「出来は悪くありませんでしたよ」と、グーグルのアレックス・ウィルチコは言う。彼はこの香水の小瓶を自宅のキッチンに置いているという。

いまのところ、この香りの販売は予定されていない。だがグーグルは、またひとつわたしたちの暮らしにかかわる新たな分野に鼻を突っ込もうとしている。においの研究だ。

グーグルの人工知能(AI)研究チームである「Google Brain」は10月24日、査読前論文の掲載サイト「arXiv」でひとつの論文を発表した。分子の構造を基にそのにおいを推測させようと、機械学習アルゴリズムに施したトレーニングの過程を記した論文だ。

世界のほとんどの場所を見せてくれる「Google マップ」と比べれば、さほど役には立たないかもしれない。だが、嗅覚の分野で長いこと解決されずにいる数々の難題に、この技術が答えを出してくれるかもしれないのだ。

においには目安がない

嗅覚の研究は、ほかの多くの分野に後れをとっている。例えば、光については何世紀も前から解明が進んでいる。17世紀には、すでにアイザック・ニュートンがプリズムを使った実験によって、太陽の白色光が誰もが知る赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫の7色に分かれることを証明している。

その後の研究によって、わたしたちが色の違いとして認識しているのは、実際には波長の違いであることも明らかになった。色相を円環状に並べたカラーホイールを見ると、それぞれの波長の関係性や、波長の長い赤や黄が波長の短い青や紫へと移り変わる様子がよくわかる。しかし、においにはそんなふうに目安となるものがない。

波長が光の基本要素だとすると、香りを構成しているのは分子ということになる。分子はわたしたちの鼻の中に入り込んで感覚器官に作用する。すると脳内の「嗅球」と呼ばれる小さい部分に信号が送られるのだ。

わたしたちは、たちまちピンとくる。「うーん、ポップコーンのいい匂い!」。波長を見るだけで、それがどんな色に見えるかを言い当てる科学者たちも、分子を見てにおいを当てることはできない。

実際のところ、分子のにおいをその化学構造から推測するのは、非常に困難であることがわかっている。原子をひとつ、結合部分を1カ所、変えたり切り取ったりしただけで、「バラの香りが腐った卵の臭いに変わってしまいます」と、このプロジェクトのリーダーを務めるウィルチコは言う。

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最終更新:11/12(火) 12:26
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