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蜷川実花さん「仕事と子育て。物理的な諦めの連続もバネに高く飛びたい」

11/12(火) 14:33配信

webマガジン mi-mollet

 第32回東京国際映画祭にて、同映画祭では初となるケリング「ウーマン・イン・モーション」のトークイベントが開催されました。登壇したのは、女優の寺島しのぶさん、写真家で映画監督でもある蜷川実花さん、アーティストのスプツニ子!さん。日本映画界における女性の地位や現状、働く女性や母親としての実体験などについて、それぞれが赤裸々に語ったこととは?

女性を取り巻く環境は、ゆるやかに変化している

蜷川 33歳の時に『さくらん』という映画を初めて撮った時には、メディアで「女性監督」とか「女流監督」とかって取り上げられることがすごく多かったですね。写真家としてデビューした当時もとにかく「女流」という言葉が付いて回っていて、その度にちょっとイラッとしていたんですけど。今年は1個も付かなかったですね。そう意味ではたぶん、ゆるやかに色々なことが変わってきたんだなと思います。

 寺島 今入っている現場もそうなんですけど、照明とかカメラマンなど撮影技師さんたちにも女性が増えてきてますね。もはや「男」とか「女」というくくりじゃないようにも思います。女性の心を持った男性も、男性の心を持った女性も、ぜーんぶがいっしょくたになって作品をつくると、より感性が広がるというか。

 スプツニ子! 女性には、今まで色々な嫌なことを言われたり、ハラスメントを受けてきた歴史があると思うんです。#Mee Tooムーブメントの発端は映画界だったんですけど、映画に限らずどんな業界でも、女性が声をあげられるような雰囲気ができてきたと思います。誰でも発信できるSNSを通じて女の人が抱えてきた声が表に出てきたという意味で、変化を感じますよね。

映画としては成立しにくい、「大人の女性の話」

寺島 やっぱり女優が圧倒的な主役を張るというのは難しいし、数少ないとは思いますね。まして日本は、まだ20代の「カワイイ文化」というのが根強くあって、大人の女性の話というのが、映画としてはなかなか成立しないのかなーと。あと、私は子どもを産んだら、もらう台本が「誰かのお母さん役」ということが多くなって。「ああ、こういうのが現状なんだなあ」とも、なんとなく思ったりします。以前、ケイト・ブランシェットさんと対談させていただいた時も「女性が主役の台本が少ない」とおっしゃっていたし、日本は極端かも知れないけれど、世界的にもみんなが思っていることなんですよね。

 スプツニ子! 映画業界って、やっぱりまだ監督も脚本家もまだ男性の比率のほうが多いですよね。人口の半分は女の人なのに、女の人から見た世界とか、女の人の気持ちの動きとかを、しっかりとうまくストーリー化できていなかったと思うんですよ。蜷川さんを「女流、女流」と言いたがったのも、その視点が珍しかっただけってことじゃないかなと。人口の半分の人が見てきた世界を、ただ当たり前に描いているだけなのに。

蜷川 私の作品って、いまだに水曜日が強いんですよ。女性のチケット代が安くなる日だから(笑) 監督をしていて、現段階では「得」だと思うのは、自分の中の女性性に目を向けることが際立った個性になるということ。女性的な視点というものを持つことによって、それがオリジナリティになっていくっていうような。なぜそうなのかというと、「ほかにいないから」。その現状はどうなんだっていうことは、大前提としてあるんですけどね。

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最終更新:11/12(火) 19:12
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