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子どもの学ぶ力の源泉「センス・オブ・ワンダー」

11/12(火) 12:50配信

JBpress

 (篠原 信:農業研究者)

 成績優秀なその学生は、みごと旧帝大工学部に現役で合格した。ところが。彼は、トンカチひとつ使ったことがなかった。卒業研究には工具を用い、試作品を作成しなければならないのに、うまくいかない。思い悩んだ彼は、大学を中途退学してしまった――。

子どもの行動が一変する、自己効力感を高める声かけ

■ 座学だけの幼児教育ではスカスカの知識しか身に付かない

 中国古典に四書五経と呼ばれるものがある。そのひとつに「大学」という本がある。大変文字数のわずかな書籍で、その内容も、わずか17文字に要約できるとされる。

 格物致知誠意正心修身斉家治国平天下

 これはお尻の方から読んだほうが理解しやすいといわれているので、意訳もかねて説明してみよう。

 世界を平和にしたければ(平天下)、まず自分の国を治めなさい(治国)。自分の国を治めるには、まず身の回りの人たちが調和するようにしなさい(斉家)。身の回りの人が調和するには、まず自分の身を修めなさい(修身)。自分の身を修めるには、心をすっきりとしたものにしなさい(正心)。心をすっきりさせるには、心の動きを素直なものにしなさい(誠意)。心の動きを素直にしてなお問題がないようにするためには、知識を徹底して身につけなさい(致知)。知識を徹底して身につけたければ、森羅万象を体験的に感得しなさい(格物)。

 いわゆる学校の勉強は、机の上のお勉強、つまり座学だ。座学で本を読んでも、文字の情報しか頭に入らない。

 幼児教育に関する興味深い実験がある。言葉カードをたくさん幼児に学ばせたところ、全員が字を読むことができるようになった。ところが、体験的な裏づけもなしに言葉を覚えると、逆にその後の学習の妨げになったという(中島誠ほか著『新 心の探検隊 あなたも心の中をのぞいてみませんか』アカデミア出版会)。言葉が本来指し示す意味や内容(概念)がすっぽり抜けてしまっていると、知識が現実を上滑りしてしまう。

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最終更新:11/19(火) 17:15
JBpress

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