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学生憤死、実弾発砲…香港の「一国二制度」はもはや修復不能なのか

11/12(火) 6:31配信

現代ビジネス

血の月曜日

 「今年の『双十一』は、前代未聞の勢いです。11日午前10時4分49秒、ついに2017年の24時間の総額、1682億元を突破しました!」

中国・習近平が恐れている、米中貿易戦争より「ヤバすぎる現実」

 11月11日、14億人の中国人が「爆買い」に走る日、「双十一」(二つの11)のイベントが、アリババが主催して行われた(日本では「お一人様の日」と訳されているが、これは誤訳)。

 ところが中国南部、広東省と接する香港特別行政区は、「血の月曜日」となった。

 同日午前8時半頃、香港島東部の西湾河道と太安街の交差点で、10人ほどの黒い服を身にまとったデモ隊が道路を塞いでいて、二人の警察官が蹴散らそうとした。そのうちの一人が突然、約1mの近距離で黒衣の若者に発砲したのだ。

 若者は路上に倒れ、救急車で病院に緊急搬送されたが、同日夜の時点で重体である。周囲には悲鳴と、警察に対する罵声が上がった――。

 この日は、3日前の「憤死」に抗議するため、全大学と高校をボイコットし、香港中の公共交通機関を封鎖しようという呼びかけが、SNS上で呼びかけられていた。それがとんだ惨事に発展してしまった。他にも、沙田と東涌でも、警察官が若者に向けて、実弾を発砲した。

 「憤死」とは、先週11月8日午前8時9分、香港のクイーン・エリザベス病院で緊急処置を受けていた周梓楽(アレックス・チョウ)君が死去した一件だ。享年22。

 周君は、今年のアジア大学ランキング(英THE発表)で、清華大学(北京)、シンガポール国立大学に次いで3位につけている香港ナンバー1の名門校、香港科技大学のエリート学生だった(日本最高位は8位の東京大学)。

周梓楽君の死に関する疑問点

 11月3日深夜、周君は大学及び自宅近くの新界東部、西貢区にある将軍澳ニュータウンの街頭で、デモ活動に参加していた。デモは次第に激化していき、警察は催涙弾で応戦した。

 そんな中、日付が変わった4日の0時45分から1時頃(推定)、周君はニュータウンにある3階建ての駐車場の3階から落下した。救急車で運ばれたが、頭を強く打って意識不明の状態が続いていた。

 8日に香港警察は緊急記者会見を行い、当日の警察の行動に瑕疵(かし)はなかったことを強調した。

 「あの事故が起こった当時、周辺で警察が催涙弾を使って、不法なデモを排除する行動を取っていたのは事実だ。だが、現在調査中ではるが、警察が事故の前に駐車場内に入ったという事実は、これまでのことろ確認されていない」

 それでも、スポーツが得意で、動作が敏捷だったという周梓楽君の死に関して、いくつもの疑問点が挙がっている。例えば、以下のようなものだ。

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1)3階から階下までは、4mくらいしかないのに、なぜ頭から地面に落下したのか? 2)すぐ近くには2階へ降りる場所があり、そこを使えば1.2m下へ降りればよいだけなのに、なぜそうしなかったのか? 3)飛び降りたとされる場所のすぐ近くの壁に、真新しい血痕がこびりついているのはなぜか? 4)駐車場内には計35ヵ所に監視カメラが設置されており、飛び降りた場所のすぐ近くにも2ヵ所設置されているのに、なぜその映像を公開しないのか? 5)なぜ警察は、周梓楽君が倒れている現場を、警察車両で取り囲み、救急車がすぐに入って来られないようにしたのか? 6)ネット上では、「午後11時28分に、20人前後の警察官が駐車場から出てきた」という信憑性が高そうな証言が挙がっているが、これをどう説明するのか? ----------

 こうしたことから推定されるのは、単なる私の仮説にすぎないが、以下のようなことではなかろうか。

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デモに参加していた周梓楽君は、偶然、駐車場の3階で待機していた覆面の警察車両を発見した。そこで密かに、その近くへ寄って行って、撮影を開始した。
すると、駐車場内の警察隊に見つかってしまう。警察隊は直ちに周君を取り押さえ、駐車場の壁際で暴行。携帯電話を押収した。
その一瞬の隙に、周君は警察隊を振り切って逃げた。警察隊は追いかけた。そのあげく、警察隊に追い詰められて慌てて飛び降りた、もしくは転落した。もしくは警察隊に突き落とされた――。
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 この事件の解明は、ひとえに警察が、現場近くに設置されていた2台の監視カメラの映像を公開するかどうかにかかっている。だが、もしも上記のような「現場」がカメラに撮られていたのならば、警察が公開する可能性は低いだろう。その代わりに、あくまでも警察が関与していない一般人の事故死という形で収めようとするに違いない。

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最終更新:11/12(火) 8:55
現代ビジネス

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