ここから本文です

日本カジノの利権を握るであろう運営会社はどこが濃厚なのか?

11/12(火) 15:30配信

HARBOR BUSINESS Online

 前回は、日本の政治家が取らぬ狸の皮算用をしている「カジノ利権」について、本当に甘い汁を吸えるのは誰なのかを考察したが、今回はカジノ候補地とその運営会社としてどこが濃厚なのかを考えたい。

世界における2大カジノの収益性

 2大カジノといえば、ラスベガスとマカオである。

 ラスベガスを含むネバダ州では、カジノの売上高に課税して税収を確保するために1931年にカジノが合法化された。ネバダ州に限らないが、先住民族(インディアン)に対する恩恵としてカジノの営業を認めているケースもある。

 ラスベガスを含むネバダ州には2017年時点で272のカジノ施設があり、総売り上げは2.9兆円となっている。その総売り上げの42%がカジノそのものの売上である。

 一方で1999年に中国に返還されたマカオではポルトガル統治下の1847年にカジノが合法化されていたが、戦後のカジノ利権はスタンレー・ホー率いる澳門旅游娯楽有限公司が独占していた。

 スタンレー・ホーは香港の裕福な家庭に生まれたが後に没落し、若い頃は苦労したようである。苦学して香港大学に入り、広東語のほか英語、日本語、ポルトガル語を流暢にしゃべるようになる。第二次世界大戦中は単独で中立地だった(カトリックの借用地だったから)マカオに渡り、日本人が経営する貿易会社に勤務する。その会社の危機を救って得たボーナスで香港に建設会社を設立し、戦後の建設ブームで会社は大盛況となる。

 スタンレー・ホーはその利益でマカオのカジノの権利を取得し、リスボアなど主要ホテルや香港との間の高速船なども独占して巨万の富を得る。ただ、その富を決して独り占めせず、多額の納税を続けた。その結果、30万人のマカオ市民は今も教育費や医療費の大半が免除されている。

 1999年にマカオが中国に返還されたあとには、中国政府がカジノの収益性に目をつけライセンスを6つだけ発行して直接管理に乗り出す。現在98歳のスタンレー・ホーはさすがに第一線を退いているがライセンスの1つを今も確保してカジノビジネスを続けている。中国政府との関係は良好のようである。中国政府が発行した6つのライセンスとは、米国のサンズ、Wynn、MGM、香港のギャラクシーとメルコリゾーツ、それにスタンレー・ホーのSJM(現社名)である。

 マカオのカジノは2017年時点で40施設あり、総売上高はラスベガスを上回る3.7兆円である。またラスベガスとは大きく違い、総売り上げの92%がカジノそのものの売上である。マカオが発展した大きな理由は、中国共産党幹部への賄賂の支払いや中国人のマネーロンダリングに利用されていたからであるが、最近の綱紀粛正と米中貿易戦争による中国経済の減速に伴い、その成長は鈍化するものと思われる。

 現在、全世界では130か国以上でカジノが合法化され、4000以上のカジノ施設があり、その総売上高は10兆円を超える。しかし、日本におけるパチンコ産業の売り上げは、合法化されているとは言えない中で1892社(2018年時点)。総売り上げは減少し続けているが、いまだ15.8兆円もある。

 つまり、日本1国のパチンコ産業の総売り上げが、世界中のカジノの総売り上げの1.5倍以上もある。カジノカジノと騒ぐ前に、この問題を直視しなければならない。

1/3ページ

最終更新:11/12(火) 15:30
HARBOR BUSINESS Online

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事