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金杉恭三(あいおいニッセイ同和損保社長)【佐藤優の頂上対決/我々はどう生き残るか】

11/12(火) 5:55配信

デイリー新潮

 安全運転なら保険料が下がり、急ブレーキや急アクセル、速度超過をくり返すと高くなる――走行時のデータを数値化し、保険に組み込んだテレマティクス自動車保険。このまったく新しい保険は、安全運転を促し、高齢者ドライバー対策になるなど、さまざまな可能性を秘めている。

佐藤 台風15号、19号の被害は甚大でした。最近は気候変動のせいなのか、予想もできなかった自然災害が立て続けに起きている。損害保険会社としては、支払いも大変だし、保険料も見直したりして、いまは激動期にあるんじゃないでしょうか。

金杉 そうですね。ここ数年は本当に災害が多くなって、過去のデータが当てはまらなくなっている。しかも水害がなかったようなところでも水害が起きるし、風災(ふうさい)とか雪災(せつさい)でも甚大な被害が起きています。この度の台風により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。私たちとしても、一刻も早い保険金のお支払いができるよう対応しているところです。

佐藤 今回の台風の被害とは比べようもないですが、私も今年、どうも水難の相が出ているようで、自分の持っているマンションの2階が床上浸水したんです。

金杉 2階が、ですか。

佐藤 5月に大雨が降った時、ベランダにたまった水が床上まで流れ込んで来てしまったんです。構造上、私の部屋の外に水が集まるようになっていたからですが、極めて珍しい事例ですよね。

金杉 あまり聞かないですね。

佐藤 通常の雨量だったら大丈夫なんですが、雨が短い間に大量に降って、排水口に葉っぱなども入って詰まったのか、あふれてしまったんです。でも私の入っている保険もマンションの管理組合の保険も、そんな事態には対応していなくて、保険金はおりなかったんですよ。

金杉 水災危険補償特約を付けていなかったんですか。

佐藤 付けていましたが、免責条項に当たった。それで管理組合の会合を開いて、積み立てているお金から修繕費を出すことになりました。

金杉 給排水設備の瑕疵ですかね。

佐藤 わかりません。管理会社から詳しい説明を受けていません。想定外のことって起きるものですね。マンションの2階だって水害がありうる。

金杉 それは特殊なケースだと思いますが、ここ数年、予想外の被害が次々起きているのは確かです。

佐藤 しかも毎年のように起きていますからね。

金杉 ええ。では自分の保険はどうなっているか、となると、きちんと内容を知っている人は少ない。住宅を買ったときに入ったまま20年、30年経ってすっかり忘れてしまっている人が多いんですよ。

佐藤 火災保険は入っていても、地震保険は入っていないとか。

金杉 昔の保険だと、風水災が出ない保険もある。でもハザードマップ(被害予測地図)を見ると、住んでいる一帯が水害危険地域だったりするんですね。

佐藤 損害保険というのは、自分の人生の上で起こり得るリスクを考えさせる点で、非常に重要だと改めて思いました。

金杉 おっしゃる通りで、日常生活だけでなく仕事も含めてリスクだらけで、しかもリスクは世の中の変化によって変わっていく。だから何をどこまでカバーできているか、専門家のアドバイスを受けながら考えていくことが必要なんです。

佐藤 そうですね。

金杉 それに、いまの保険はどの会社も横並びというわけではありませんから。

佐藤 それぞれ特長のある保険があるんですね。

金杉 私があいおいニッセイ同和損保の前身である大東京火災海上に入社したのは昭和54(1979)年ですが、当時は保険会社の商品はどこでも一緒で、保険料も一緒、代理店にお支払いする手数料すらも一緒だったんです。要は規制されていた。

佐藤 護送船団方式ですね。

金杉 それが平成の30年間で大きく変わりました。平成8(1996)年に保険業法が改正されて以降は、自由競争時代に入り、各社の特色を出した保険が作れるようになりました。また同時期の「日米保険協議」で外資が参入できるようにもなった。そうなると各社が効率化を進めなくてはならなくなり、保険会社の合従連衡、合併という形で再編が進んだんです。

佐藤 メガバンクと同じですね。

金杉 私どもの社名を見ればわかるように、平成13年に大東京火災海上と千代田火災海上が合併してあいおい損保が誕生、同年、ニッセイ損保と同和火災海上が合併してニッセイ同和損保が生まれました。それでもまだ不十分で、平成22年には両社が合併して、現在の会社ができました。平成というのは、世の中がどんどん変わっていく中、保険業界がその変化にどう追いついていくか試行錯誤を重ねた時代だったと思いますね。

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最終更新:11/12(火) 5:55
デイリー新潮

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