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国際大会では「下町ロケット」が必要だ?/川口和久WEBコラム

11/13(水) 11:14配信

週刊ベースボールONLINE

アンダースローは秘密兵器

 プレミア12が真っ只中だが、過去の国際大会同様、試合が重い。相手の情報が少ないのと短期決戦の重圧で、特に打線はなかなか点が取れない。

メジャーで通用するアンダースローとは?

 日本の打線が湿るのは審判もある。世界野球では常識と言われたらそこまでだが、左右に広く、しかもバラツキがある。これだと、じっくりボールを見るタイプが戸惑うし、それが最後まで尾を引いてしまうこともある。

 仕方がない、と割り切ればいいのだろうが、日本人はマジメだからなかなかそれができない。典型が星野仙一さんが指揮した北京オリンピックだった。審判のジャッジに神経質になってしまい、自分たちのペースを崩し、さらに言えば、完全に審判を敵に回してしまった。

 次の国際大会は東京だからもう関係ないけど、今回の台湾オープニングラウンドを見て感じたのは、他国でも試合をこなすには、柔らかい頭が必要だということ。

 グラウンドはガタガタで照明の照度も日本と違う。審判もそうだけど、いろいろな違いを受け入れたうえで、切り替えられる頭の良さというのかな。
 もちろん、逆にどんな状況でも動じることなく、自分のスタイルを変えない強さ(あるいは鈍感力)のある選手もまた、活躍できそうな気がする。
 クレバーかタフというのか、中途半端な選手を排除してしまうのが、国際大会なのかな。

 個々の選手でいえば、目立ったのは、やはりプエルトリコ戦で好投した高橋礼だ。相手がまったくタイミングが合わなかった。おそらく、アンダースローとの対戦はほとんどなかった選手ばかりだったんだろう。
 ただ、高橋礼の場合、日本シリーズの巨人もそうだったから、情報があっても、打ちにくいプラスアルファがあるということだと思う。

 1970年代くらいまでは、各チームに1人はアンダースローがいた。右バッターが多かったのもあるし、あとは文化的に畳や和式トイレの日本文化で育つと、自然と股関節が柔らかくなったこともあるんじゃないかな。アンダースローはメジャーでもいないわけではないが、日本の投手ほどには下半身を柔らかく使えてはいない。

 洋式トイレの普及とともに(言い過ぎ?)日本でも一度は“絶滅”しかけたアンダースローだが、ロッテにいた渡辺俊介が突然変異みたいに出てきて、その後、牧田和久、そして高橋礼と、細々だけど続いている。
 俊介もそうだけど、アンダースローは国際大会や日本シリーズの隠し玉のように言われてきたが、高橋礼はまた異質だね。
 だって188センチでしょ。たぶん、打者から見たら、すごく近くから球を離しているように見えるんじゃないかな。アンダースローの新たなる可能性を示した選手とも思う。

 ただ、アンダースローは誰にでも教えられるものじゃない。はっきり言えば、俺も自信がない。オーバースローやサイドスローとは違う独特のものがある。
 アメリカではなく、日本独自で磨かれた数少ない野球技術の1つ、とも言われるが、確かにそうだ。TBSドラマ「下町ロケット」に出ていた町工場の技術みたいなものかな。1つを突き詰めた技術は野球でも強いということなんだろう。
 
 そう考えると、特別な「アンダースロー養成工房」をつくってもいいかもしれないね。工場長(校長)は、元阪急の山田久志さんかな。
 どのチームでもアンダースローにチャレンジしたい選手は入ることができるとかしたらどうかな。

 国際大会のたびに「山田ブランド」の秘密兵器が出てきたら面白いでしょ。

週刊ベースボール

最終更新:11/13(水) 11:47
週刊ベースボールONLINE

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