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即位礼正殿の儀で“虹”話題に 「神の祝福」「古代は不吉の象徴」の声、専門家に聞く

11/13(水) 8:10配信

オトナンサー

 天皇陛下が即位を内外に宣言される「即位礼正殿の儀」が10月22日に行われました。当日、都内はあいにくの雨でしたが儀式の直前に雨がやみ、空に「虹」がかかりました。ネット上では「ファンタジーすぎる」「神様からの祝福」などの声が上がる一方、「虹は古代日本では不吉の象徴」という説も紹介されました。虹は昔、不吉なことの象徴だったのでしょうか。和文化研究家で日本礼法教授の齊木由香さんに聞きました。

平安中期、良い意味に変化した?

Q.「古代日本では、虹は不吉の象徴だった」という情報がありますが、本当でしょうか。

齊木さん「確かに、古代の日本では、虹は不吉なものとされていました。虹の語源は諸説ありますが、『万葉集』では、虹は『ヌジ』、平安時代初期の説話集『日本霊異記』では『ニジ』とあり、池や沼にいる主(ぬし)の語源と一緒という説があります。昔の人は、虹を恐ろしい霊物に例えていたのでしょう。

また、沖縄では、虹は『雨呑み者(アミヌミヤー)』と呼ばれる赤まだらの蛇だとされていました。このアメヌミヤーが天の泉の水を飲んでしまうため、下界に雨が降らなくなるという言い伝えがありました。すなわち、虹は干ばつの前触れと思われ、不吉なものとされていたのです」

Q.平安時代中期、「虹の立ったところに、市が立つ」といわれたとの情報があります。虹が良い意味に変わっていったのでしょうか。

齊木さん「平安時代の中ごろに、虹が立ったので市を開くべきかどうかのお伺いを立てたという文献が残っています。そして、古来の風習だから市を開くようにとの通達が出たとあります。自然現象と結びつけた伝承で、虹を伝って、豊穣(ほうじょう)をもたらす竜神が降りてきて、物が売買されて市が成り立つものと考えられたのです。

市のにぎわいだけを考えれば、虹はありがたいものですが、竜は同時に、人々にとっては怖い存在でもありました。この頃は、地域によって、吉凶さまざまな意味があったと思われます」

Q.現代の日本では、虹が出るとめでたいといわれます。なぜ、めでたいといわれるようになったのでしょうか。

齊木さん「イギリスの物理学者であるアイザック・ニュートンが虹は7色(赤、黄、緑、青、すみれ、だいだい、藍)だと唱えたことがきっかけです。それまでは5色(赤、黄、緑、青、すみれ)と考えられていました。やがて、ニュートンの説が日本に伝わり、明治以降の日本の学校教育に取り入れられましたが、後にこの7色の虹を七福神になぞらえて『長寿、人望、清廉、商売繁盛、威光、財富、愛嬌(あいきょう)』を表すようになりました。

これにより、多くの人が望むすべての幸運を呼び込んでくる縁起物として、めでたい象徴となっていきました」

Q.海外では、虹はどのような存在なのでしょうか。

齊木さん「ヨーロッパ諸国では幸運の象徴として捉えられてきました。ドイツの伝承では、虹の根元には幸福をもたらす金のカップがあるとされます。虹は水を飲みに天から現れるもので、虹が水を飲んでいる間に虹の根元にたどり着けば、そのカップを手に入れることができるとされています。金のカップは持ち主に一生、幸運をもたらし、手放すとたちまち不幸に見舞われるといわれたそうです。フランスやブルガリアでも同様の話があります」

Q.現代においては、虹は吉兆と考えてよいのでしょうか。

齊木さん「昔の人は、この不思議な現象に恐れおののき、あがめてきましたが、虹のメカニズムが解明されている現在においては、神秘的で喜ばしいことと捉えてよいでしょう。虹は、水滴の大きさや光の角度などの条件が整ったとき、初めて見ることのできる現象で、常に現れるものではありません。短い時間、姿を現すものだからこそ、人々は感嘆の声を上げ、思わず願い事をささげるのでしょう」

オトナンサー編集部

最終更新:11/15(金) 6:21
オトナンサー

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