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米国で対中戦略新提案「“選別”で経済関係縮小を」

11/13(水) 6:01配信

JBpress

 (古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米中対立の影響が全世界に広がるなか、米国学界最大のアジア研究機関が、現在の対中関税戦争を一時休戦して“選別的”に中国との関係を縮小していくという「部分的な不関与」を対中新戦略として提案した。

 提案には、米国が日本との貿易協力関係を拡大し、やがては環太平洋パートナーシップ(TPP)に戻るという選択肢も掲げていた。提案者は超党派だが、学者だけでなく大物の元官僚や政治家も含まれており、トランプ政権に影響を及ぼすことも考えられる。

■ 中国に対して「部分的な不関与」戦略を

 米国のアジア研究学会では最大規模の「全米アジア研究部会(NBR)」は11月上旬、「部分的な不関与=中国との経済競争への米国の新戦略」と題する政策提言報告書を発表した。

 この政策提言は、NBRのなかに組織された「米中戦略の経済的側面の変質についての調査班」の合計13人の専門家により、1年ほどの研究と調査を経てまとめられた。

 NBRが新戦略を打ち出した目的は、米国の新たな対中経済政策の形成にある。作業は、13人の同調査班メンバーのうち共和党の元下院議員のチャールズ・ボウスタニ氏とプリンストン大学教授のアーロン・フリードバーグ氏が共同議長となって進めた。両氏とも議会や政府の要職を務め、対中政策形成に長年関与してきた。

 トランプ政権は中国を米国の基本的国益と価値観を侵す有害な存在とみなして、対決していく姿勢を明らかにしている。今回、NBRが発表した報告書は、トランプ政権のそうした中国との対決姿勢に沿うことを前提としている。

 そのうえで、米中の対立が激しい経済や貿易の分野に焦点を絞り、中国に対しては今後「部分的な不関与」という戦略をとっていくことが適切な進路だと強調していた。ただし当面の戦術として、現在の対中関税戦争は一時的に休戦することが望ましいという。

■ 報告書が提案する4つの具体的な措置

 報告書は、米国が今後とるべき対中政策として、4つの具体的な措置を提案していた。その主な内容は以下のとおりである。

 (1)現在の対中関税戦争の一時休戦

 米国は、中国側から基本的な譲歩を引き出すまでは、対中圧力を減らすことになる暫定的な合意は避けるべきである。ただしこの基本線を守りながら、米国の消費者や生産者にかかってきた負担を軽減するために、中国との関税をめぐる対立を一時休止して、追加関税の対象となる中国からの輸入品を改めて選別する。

 (2)米国の弱点を減らす防御措置の強化

 米国の高度な技術の中国への流出を防ぐ措置を強化する。強化策として中国側勢力の米国内での活動への監視や取り締まりを増やす。同時に中国側の特定製品、資本、要員の米国内への流入を規制する。この種の流入は、米国の官民の高度技術を入手しようとする中国側の目的に寄与してきた。

 (3)技術革新と教育への投資

 米国の中国との対決や中国に対する抑止は長期化し、高度技術面での競合が大きな要素となる。その競合に勝つには、米国側が高度技術の発展や革新のための投資を官民ともに増大させなければならない。その投資を増大させるには、米国連邦政府の長年の財政赤字の減少にまでさかのぼって対処する必要がある。

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最終更新:11/13(水) 6:01
JBpress

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