ここから本文です

SBIと福島銀の資本・業務提携が「期間限定なら合理的」といえる理由

11/13(水) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● SBIと福島銀行が資本・業務提携 地銀と証券会社の接近をどう見るか

 インターネット金融グループ大手のSBIホールディングスが、第二地方銀行である福島銀行に出資するとともに、共同で証券子会社を設立するなどの業務提携を結ぶという。島根銀行との資本・業務提携に続く2件目の案件だ。SBIはかねてより、地銀と広く連携する「第4のメガバンク」構想を発表していた。

【この記事の画像を見る】

 このケース以外にも、野村證券と山陰合同銀行(島根県)の提携が発表されていたし、以前から横浜銀行(神奈川県)を中核とするコンコルディア・フィナンシャルグループと東海東京証券が提携して証券子会社を設立するなど、地銀と証券会社の関係は深まる流れにある。

 筆者はネット証券(楽天証券)の社員でもあるので、同業の動きに対して、幾らかコメントしにくい気分を持つのだが(筆者の気分だけであって、会社は発言を制約するようなケチなことはしていない)、以下、率直な意見を述べる。

 地銀と証券会社が関係を強化することは、地銀にとっても証券会社にとっても一定の合理性がある。ただし、たぶん、これはゴールにはなり得ない過渡的な形だろう。初めに筆者の結論を述べるとこうなる。

 融資の利ざやが縮み、また地方経済が縮小する環境下にあって、投資信託の販売などをはじめとする証券関連のビジネスは地銀にとって重要な収益源だ。しかし、商品の確保や各種サービスの提供、証券口座の管理、証券ビジネスに関する社員の教育、顧客への情報提供などを、地方銀行が全て自前で十分に賄うことは、そもそも可能ではなかろう。また、可能にしたところで非効率的だ。

 端的にいって「証券ビジネスの本部機能」を効率的に持つことが地銀の証券ビジネスにとって必要であり、例えばSBIのような会社から商品・システム・ノウハウなどの提供を受けることは合理的だ。

 一方、証券会社の側では、銀行を大きくて堅固な顧客基盤を抱えたIFA(独立金融アドバイザー)業者だと思えば、それだけでも提携に収益性がある。また、将来、銀行が抱えている法人顧客との間でビジネスをつくっていくことができる可能性もあるだろう。地銀への出資・提携は単なる地銀救済ではなく、地銀の顧客基盤を獲得するのに幾らの資金を使い、それをどれだけ収益化できるかという投資案件なのだ。

 このように、ネット証券と地銀の提携には一応ウィン・ウィンの関係性がある。では、多数の商品やサービス、情報、システムなどの機能を既に備えている大手証券の地方支店と、ネット証券と提携した地銀の証券子会社の競争関係はどうなのか。

 対面営業の証券会社は、長年のビジネス経験と営業マンの腕力によって地方の富裕顧客に食い込んでいるかもしれない。しかし、率直にいって、証券会社は銀行ほど「顧客のお金が見えていない」。他方、銀行は預金口座の動きを通じて、顧客のお金の状態とさまざまな経済的情報を詳しく把握している。大手証券の人件費を含む各種コストが高いことを考えると、ネット証券と組んだ地銀の証券ビジネスには「十分勝算あり」なのではないか。

1/3ページ

最終更新:11/13(水) 6:01
ダイヤモンド・オンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事