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GSOMIA失効まであと10日、米元高官が日韓対立を本気で憂う理由

11/13(水) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 韓国との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効期限が、11月23日午前0時に迫った。韓国側は日本が輸出管理強化を撤回すればGSOMIA破棄も見直す意向をちらつかせるが、日本は応じない公算。GSOMIAは軍事情報の共有という安全保障戦略の要であり、このまま失効すれば東アジアの安定に不確定要素が増す。この状態を強く憂慮しているのが米トップシンクタンク、戦略問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン上級副所長。ダイヤモンド編集部の単独インタビューに応じ、日韓相克で漁夫の利を得る国があることに警鐘を鳴らした。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

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● 韓国は今からでも GSOMIA破棄を見直すべき

 ――GSOMIAの失効期限が迫っています。

 米国の国防総省や国務省が韓国側にかなり反発しているので、最終的に破棄しない可能性はまだあり得ます。確かに日韓間の問題解決は容易ではありません。摩擦状態から関係回復にシフトするには、どうすればよいか。私は次のように考えます。

 まず韓国はGSOMIAの破棄をやめる。日本は、日米韓3ヵ国の輸出管理の専門家会議を開く。そこで米国は仲介役として韓国に働きかけ、韓国が輸出管理制度を改善する。また韓国政府は韓国人のみの知識人会議を設立し、日韓関係について半年ほど議論して新しい解決策を検討する。

 来年4月の韓国国会の総選挙まで問題を後回しにできれば、韓国側はもう少し冷静に、日本の問題を考えられるかもしれない。歴史問題そのものの解決にはならなくても、時間を稼いで冷静に議論しましょうという考え方です。完璧ではないですが、そうした方法しかないのではありませんか。

 ――日韓の関係悪化について、米国ではどのように捉えられているのでしょうか。

 1965年の国交正常化以降、日韓関係は何度も悪化してきましたが、今回は特に深刻です。背景には、文在寅(ムン・ジェイン)政権によるポピュリズム的な政治手法や、韓国の大法院(最高裁判所)判決(元徴用工への賠償を命じた)があります。ワシントンでは今回の問題について、日本が端緒と考えている人は少ない。最高裁の政治的判断により、韓国が火を点けた形です。韓国政府は独立した司法判断と説明していますが、米国では説得力を持って受け止められていません。

● 日本の輸出管理強化は 法的に○でも戦略的には×

 しかしその一方で、日本による輸出管理強化は間違いなくタイミングを見計らった報復措置でした。日本が問題を複雑にしたのです。米ワシントンの国際関係の専門家たちは、当初は9割方韓国が悪いという意見でした。それが輸出管理強化によって、6割ぐらい韓国、4割は日本が悪いとなりました。

 日本は確かに韓国よりも国力があります。技術、政治、経済、米国との関係のいずれも、日本の方が韓国より強い基盤を持っている。日本側は輸出品目という圧倒的なレバレッジ(てこ)を持っているわけで、安倍晋三政権は日韓の力関係をうまく分析して行動しました。しかし日韓の歴史を考えると、韓国が日本に対して降伏するというシナリオは考えられません。韓国がさらに報復するのは明らかでした。

 輸出管理における日本の措置は、WTO(世界貿易機関)などの国際的な取り決めの違反にはなりません。韓国の輸出管理制度に問題があるのは、多くの専門家が認識していたことです。それでも「日本はここまでやらなくてもよかった」との意見があります。法律的には正しくても、戦略的にはよくないのです。日韓関係の悪化を、中国や北朝鮮が利用するからです。それは、米国にとっても国益にダメージをもたらす状態です。

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最終更新:11/13(水) 12:05
ダイヤモンド・オンライン

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