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いつまで人間は「今の仕事」を任せてもらえるか

11/13(水) 8:00配信

東洋経済オンライン

電子マネーにキャッシュレスサービス、仮想通貨(暗号資産)、ブロックチェーン。今、フィンテックという言葉のもとに、あらゆる場面の根幹にある「お金」のあり方が変わり始めた。インターネットと社会の関係を長年研究する著者は、この先「貨幣経済が衰退する可能性は高く、その未来にまったく異なる世界が立ち上がる」と主張する。『2049年「お金」消滅 貨幣なき世界の歩き方』から一部抜粋して解説していく。

■揺らぐ「労働の対価」としてのお金

 現在の世界での「お金」の仕組みが別のもので置き換わる、さらには消滅する――。そのことについて筆者は検証してきたのですが、そもそも私たちはそれを望むのでしょうか。そのことについて考えてみたいと思います。

 これから先の未来、自動化があらゆる分野で進んでいくと思いますが、その過程でも「お金」の存在意義がまた1つ問われることになります。それは「お金」が持つ「労働の対価」という意味合いです。

 私たちの多くは今現在、「お金は労働の対価である」と思っていますが、そもそもその労動の多くがこの世から消えかけているのです。

 この話を進めるとき、アメリカの発明家で未来学者であるレイ・カーツワイルが広めた、「技術的特異点(シンギュラリティ)」という概念について少し理解しておく必要があるかもしれません。

 特異点とは、一般には文字どおり「特異な点」という意味で、それまで広く知られていた法則が成り立たなくなる点を示します。例えば物理学では、ブラックホールの中の特異点、あるいは宇宙の始まりの特異点といった話題が論じられますが、いずれも「私たちが知る物理法則が成り立たなくなる点」といった意味で使われています。

 ちなみに「お金」の誕生と消滅は、経済学にとって、まさに特異点だと言えるでしょう。

 経済学では、価値を数値化するという営みが前提で、そこでは「お金」が大きな役割を担います。ですが、もちろんそれだけが価値を扱う方法のすべてではありませんし、「お金」の存在自体が揺らぐこれからは同じ前提は通用しなくなるでしょう。

 「お金」の役割や存在意義が一定だった時代とそれらが消滅した後とでは、当然ですが同じ経済学がそのまま成り立つとは考えられません。実際に現在でも、たかだかモノやサービスの値段をゼロにするだけで、人々が従来の経済理論では説明できない行動を起こす事例が多数報告されています(『予想どおりに不合理――行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン・アリエリー著、熊谷淳子訳、早川書房)。

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最終更新:11/13(水) 8:00
東洋経済オンライン

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