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危機に陥ったWeWorkは、それでもさらなる拡大を目指す

11/14(木) 18:12配信

WIRED.jp

とある火曜日、サンフランシスコのノースビーチ近辺にあるWeWorkのオフィススペースは“大騒ぎ”だった。

WeWorkの野望──「2兆円企業」が見通す働き方の未来

植物由来のフローズンヨーグルトマシンが故障しており、所有者が必死にWeWorkの施設マネージャーを探している。その横では、地元のフードテックスタートアップ(うち何社かは、このオフィススペースを本拠地としている)の製品の試食が行われていた。

共同キッチンでは、何十人もの起業家がせわしなく動き回っている。モリンガ(ワサビノキ)のチップスをつくっている企業の従業員は、製品をイメージさせるために月桂樹の花冠をかぶっていた。モリンガは次世代のケールだとされている植物である。

誰もがWeWorkの新しい「フードラボ」のオープンを祝っていた。フードラボは食品スタートアップ向けのプログラムで、オフィススペースとネットワーキングの機会を提供する仕組みだ。

このスペースは、サンフランシスコ湾からほんの数ブロックのところにある既存のWeWork内にあり、ゆくゆくは100人の従業員を収容するという。オープン時には、オーガニック・ベビーフードのサブスクリプションサーヴィスから、食品トレーサビリティを掲げるブロックチェーン企業にいたるまで、さまざまな企業から50人が入居した。「わたしを食べ物に例えるなら〇〇です」というセリフ入りの名札を片目で確認しながら、入居者たちは握手を交わす。

トラブルまみれのWeWork

この盛大なパーティーでは、皆がお祝いムードだった。この晩のホストが先月、転落を味わっていたとはとても思えない雰囲気だ。唯一の危機は、フローズンヨーグルトマシンの故障である。

だがほかの場所では、亀裂が見え始めていた。WeWorkが株式の新規上場のための書類を9月に提出すると、評価額は470億ドル(約5.1兆円)から倒産目前にまで暴落した。IPOの計画は延期された。

WeWorkの共同創業者で元最高経営責任者(CEO)のアダム・ニューマンは、自己取引や産休の「休暇」扱いだけでなく、会社を潰しかけた挙げ句に自分は17億ドル(約1,800億円)の「退職金」で難を逃れたとして非難されている。WeWorkに数十億ドルを投資しているソフトバンクは、11月6日に行われた収支報告でこの大失敗について言及した。「WeWorkの件に関して、わたしは間違った判断をしていました」とソフトバンクのCEO、孫正義は語っている。

いまも多くが残るWeWorkの“世界”にとって、未来は不透明だ。フードラボでのイヴェントの数日前には社内メモが漏洩し、管理人を含むサポートスタッフの多くを外部委託するというWeWorkの計画が明らかになった。ある従業員は、「Business Insider」の取材に対し、この計画を「内輪の最悪の見世物だ」と表現している。

またある噂によると、同社はさらに2,000人の従業員の解雇を計画しているが、現在は解雇手当を支払う金がないという。

さらに、WeWorkが17年に2億ドル(約217億円)で買収したコミュニティプラットフォーム「Meetup」も、エンジニアの多くを含む社員の25パーセントを解雇する計画を発表した。

さまざまなコワーキングスペースでは、密かなざわつきが広がっていた。ニューヨークのロックフェラー・センターの近くのWeWorkをオフィスとするスタートアップの社員は、WeWorkの騒動の真っただ中に、WeWorkを象徴するフルーツウォーターの提供が止まったことに不平を述べた。

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最終更新:11/14(木) 18:12
WIRED.jp

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