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山崎まさよしが犯罪ミステリーで泥棒を演じたら…? 映画『影踏み』の篠原哲雄監督と原作者・横山秀夫が語る

11/14(木) 11:31配信

nippon.com

渡邊 玲子

人気ミステリー作家・横山秀夫の原作を、篠原哲雄監督がユニークなキャストで映画化した『影踏み』が、11月15日(金)から全国公開。小説を映画化するにあたり、原作者と監督が作り手として互いに意識したことは何か、2人に語ってもらった。ミュージシャンが本業である主演・山崎まさよしの役者としての魅力にも迫った。

「不可能」と言われた映像化を可能にしたもの

警察小説の名手として知られる横山秀夫。これまで数々の小説が映画やテレビドラマになっており、映画化は『半落ち』(公開2004年)、『クライマーズ・ハイ』(同08年)、『64―ロクヨン―』(同16年)などに続いて、今回の『影踏み』が6作目となる。

『影踏み』は、横山作品の中で長らく映像化が手付かずだった「最後の一作」(2016年企画当時)。小説ならではの仕掛けゆえに、映像化不可能と言われていたという。その具体的な内容については、原作と映画を比較しながら存分に楽しんでほしいが、誰よりも原作者の横山本人が、篠原監督の狙いから大きな衝撃を受けたという。

横山秀夫 監督から「ファンタジーの部分を立体的に立ち上げる」というお話を聞いたときは、やっぱり「えー!?」って思いましたね。「そんなことができるのかなあ」と。その部分を抽象的な形ではなく、具体的に映像化したということに関してはものすごく驚いたし、それがこの映画の醍醐味の1つだと思います。具体化したことによって描けたものがあまりにも大きくて「なるほどなあ」って、完成した映画を観て思いましたね。

横山は以前、漫画の原作シナリオを書いていた時期が7年ほどある。そこで身に染みたのは「漫画は漫画家のもの」という業界の不文律。それゆえ、最初から「映画は映画人のもの」として監督に託していたという。

篠原哲雄 原作者から「映画は映画人のもの」と言われてしまうのは、逆に怖くもあります。どういうスタンスで、何を選んで、何を撮るか、それが一番大変なんです。原作を最初に読んで考えた描き方をするためには、小説のルールを逸脱しなければいけないこともある。小説の中で重要となるモチーフだとしても、映画では捨てざるを得ないとかね。

横山 絵で見せられると、もうそこですべてがわかってしまう、なんてこともありますよね。映像には「そこはあえてくわしく描かない」という選択ができない部分もあるじゃないですか、全部映ってしまうから。

篠原 サスペンスの要素を映像化するのも、難しいと感じた部分でしたね。小説の文体とは違う方法で、ある人物を最初から犯人には見せないような背景をさりげなく作っていったりもするんです。

横山 そもそも小説と映画は、文法も方法論も違うものですから、こちらとしても「原作通りに作ってくれなきゃ嫌だ」みたいなことは、決して言わないわけですよ。ただね、「ものを作り出す」ということに関しては、おそらく同じ「通過点」のようなものがあって、そこをそれぞれ違う経路で通過しているのが想像できるんです。だからこそ、出来上がったものに関して「なるほどなあ」と思えるんじゃないでしょうか。

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最終更新:11/14(木) 11:31
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