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「兄さん、裏切ったな!」亡き父の通帳を見た弟が激怒したワケ

11/14(木) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

年間約130万人の方が亡くなり、このうち相続税の課税対象になるのは1/10といわれています。しかし課税対象であろうが、なかろうが、1年で130万通りの相続が発生し、多くのトラブルが生じています。当事者にならないためには、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、「不動産と貯金を二等分するように」という父の遺志を聞いていた二人兄弟のもとで起きた相続トラブルについて、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

父の遺産は自宅と貯金3,000万円と聞いていたが

相続争いに発展するには、いくつかのパターンがありますが、その一つが「遺産隠し」。今回紹介するAさん家族も、遺産隠しが原因で相続争いに発展しました。

東京に暮らすAさん家族は、父(=Aさん)、長男(Bさん)、次男(=Cさん)の3人家族。Aさんの妻は、10年前に他界。長男は、東京の企業に就職。転勤の心配のない会社だったため、30歳を前に結婚した際に東京の郊外にマンションを購入し暮らしていました。

一方、次男も東京に本社がある会社に就職しましたが、国内外に支社があり、3年ほどで転勤があり、全国を点々としていました。そんな次男も30歳を超えたときに結婚。兄弟は二人とも子供に恵まれ、幸せな家庭を築いていました。

そして70歳を超えたAさん。ある日、長男に相続の話をしました。

「私も、いつ何があるかわからない年だ。今のうちに遺産の話をしておくぞ。私が残せるのは、この自宅と貯金くらいだ。貯金は3,000万円ほどある。今は年金暮らしだから、貯金にはほとんど手をつけずにいるだろう。もしもの時は、これをCと半分ずつ分けてくれ」

「わかったよ、父さん」

「通帳が入っているのは、このタンスの引き出しだ。大切なものはすべてここに入っているから、何かあったらよろしく頼むな」

また別の日に、今度は次男にも相続の話をしました。

「Bには先に話したんだが、私が残せるのは自宅と貯金くらいだ。貯金は3,000万円ほどあって、通帳とか、大切なものは、このタンスの引き出しに入っている。何かあったら、Bと半分ずつ分けてくれ」

「わかったよ、父さん」

「兄弟は、お前ら二人しかいないんだから、遺産なんかで揉めるなよ」

そんなやり取りがあってから8年ほど経ったとき、Aさんにガンが見つかりました。手術をするには発見が遅すぎました。

「もうこの年だから、仕方がないな。私が死んだとき、前に言ったように遺産は二人で分けてくれ。母さんも悲しむから、喧嘩するようなこと、ないようにな」

「俺達だっていつまでも子供じゃないんだから、父さん」と長男。

「いつになっても、子供は子供なんだよ」

それから1年、Aさんは天国へと旅経っていきました。法要、納骨と済ませて、自宅で兄弟ふたりがホッとした様子でお茶をすすっていました。

「九州には、いつ帰るんだ?」と長男。

「今日の夜の便で帰るよ。仕事が溜まっているんだ」と次男。

「そうか、忙しいんだな」

「なかなか東京には来れないから、今のうちに相続の話を済ませておきたいんだけど」

「ああ、そうだな」と言うと、長男はタンスの引き出しから銀行の通帳を持ってきて広げました。

「父さんから聞いていたのは、遺産はこの家と貯金だと…。残っているお金は、これだな」と、長男は記帳されている最後のページを開きました。

「1,000万円……俺は貯金は3,000万円あって、年金暮らしだからほとんど使わず残るからと聞いていたけど」と次男。

「俺もそう聞いていたが、使ったんだろ。手術をしなかったとはいえ、治療費も結構かかっただろうし」

「そうか……」と口にしたものの、何かが引っかかる次男。

「この家の建物も土地も、Cと仲良く分けてくれ、というのが父さんの遺志だったけど、この家は売るということでいいか?」

「……ああ、そうだなな。俺はそれで構わんよ」と言った次男。心には、ある疑念が沸いていましたが確証がないため、長男には何も聞かず、その日の夜に自宅に帰っていきました。

心の引っかかりを抱えたままの次男でしたが、その後、税務調査が入り、疑念のすべてが明らかになりました。次男が抱いていたのは、長男が父の口座から預金を引き出していたのではないか、ということです。

あの日、通帳を見たとき、「何かがおかしい」と次男は感じていました。父にガンが見つかってから、それまでほとんど手をつけていなかったにも関わらず、頻繁に貯金が下ろされていたのです。

「父さんの入院やらなんやらで、お金が必要だったんだよ」と、長男は言い訳をしました。

「それはそうかもしれないけど、2,000万円もかからないだろ!」と次男。そのように言われて、長男も言葉をなくしました。

「父さんは、相続なんかで兄弟仲が悪くならないよう、仲良く分けろよと言っていたよな。兄さんに嘘をつかれたんじゃ、そんなの無理じゃないか! 兄さんは、父さんの遺志を裏切ったんだぞ!」

長男の遺産隠しの結果、その後、二人の間には大きな溝が生まれ、今も修復できないでいるといいます。

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最終更新:11/14(木) 10:00
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