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年金「月28万円」の両親…老人ホームの請求額に息子は絶句

11/14(木) 9:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

本記事は、2017年6月23日刊行の書籍『人生を破滅に導く「介護破産」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本来、施設の種類によって「入居」「入所」と書き分けるべきですが、文章の分かりやすさに配慮し、すべて「入所」に統一しています。

収入がないなら「在宅介護」を選ぶしかない現実

2016年6月19日のとある新聞の記事に、両親の介護費用が突然倍額になって戸惑う男性会社員の記事が掲載されていました。

東京都内在住の男性会社員Dさん(44歳)には、特別養護老人ホーム(特養)で暮らす要介護5の母親(80歳)がいます。費用の安い特別養護老人ホームに入所するために、2010年から4年も待機し、2014年にようやく入所できました。

しかし2015年4月の介護保険制度の改正をきっかけに、特別養護老人ホームからの請求額が食事や部屋代、介護保険の自己負担分を含めて、月額約8万円から約17万円へと突然跳ね上がったのです。

両親の年金収入は月額約28万円ありますが、実家の借地料(月8万円)と、その実家でひとり暮らしをする父親の生活費や医療費などの支払いがあるので到底足りず、Dさんが毎月4万円の仕送りをしているものの、状況は厳しくなったそうです。

2015年の介護保険制度の大幅な改正は、多くの中流家庭にとって非常に厳しいものになりました※。Dさんの両親も、月額約28万円の年金収入があるという理由で、施設の食費・居住費の補助(補足給付)を受けられる条件の対象外になり、多大な負担を強いられるようになったのです。

※編集部注・・・介護保険法はその後2018年にも改正され、年金収入等計340万円以上の利用者は、負担割合が2割から3割へ増加した。

Dさん自身も住宅ローンや子どもの教育費を抱えており、仕送りだけでも大変です。自治体の生活相談窓口に相談したところ、「国にはもう財源がないから」と担当職員から在宅介護を勧められました。

Dさんは、両親を離婚させて2世帯に分け、1世帯あたりの年収を抑えて住民税を非課税にすることで再び補足給付を受けるしかないか――と思い悩んでいるそうです。

Dさんの姿は、日本の多くの中流家庭にとって、他人事ではありません。低所得層へのさまざまな救済策が講じられる一方で、財源確保のために、支払い能力のある人々への負担を重くしていこうというのが国の考えだからです。

「わが家にはある程度の蓄えもあるし、問題ない」「親は健康だし、月30万円の年金も受け取っているので大丈夫」実はこうした中流家庭の人たちが、必要な介護を受けられない介護難民になってしまうケースが急増しているのです。

突然父親が病に倒れ、施設に入所しなければいけなくなったが、比較的費用の安い特別養護老人ホームは、制度改正以降要介護3以上でないと入所できないといわれた――。

近隣の介護付き有料老人ホームの入所一時金は1000万円を超え、月額利用料も20万円を軽く超えてしまう――。

制度改正による自己負担額の増額で、特別養護老人ホームからの退去を余儀なくされたものの、行くあてもなく、子どもが会社を辞めて在宅介護に専念することになった――。

このような介護生活の先に高齢者とその家族を待ち受けるのは、貧困、そして介護破産です。

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最終更新:11/14(木) 9:00
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