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日本以外の先進国では疑義を呈された「生活習慣病の薬」と「治療法」

11/14(木) 11:01配信

現代ビジネス

普通じゃない状況

 「フランスでは'17年、ARBという比較的新しい降圧剤の一種であるオルメテックが保険から外されました。脳卒中や心筋梗塞を減らす効果は示されていない一方で、まれながら、重度の慢性の下痢をもたらす腸疾患などの副作用が報告され、安全面でほかのARBに劣ると判断されたのです」

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 こう解説するのは、東京大学大学院客員准教授の五十嵐中氏だ。オルメテックは、日本で使われている降圧剤のなかでもトップクラスに処方数が多く、'16年4月~'17年3月の1年で2億4000万錠以上も処方された(外来院外処方、20mg)。だが、フランスは日本と真逆の方向に舵を切った。

 「日本では、一度薬が承認されると、安全性の問題がない限り、保険から外されることはまれです。

 一方、フランスでは、安全性と有効性の両面から再検証して、患者にとって意味のある改善、重い病気の予防や余命の延長などが証明できなければ、保険から外されたり、患者自己負担率を上げることがあります」(五十嵐氏)

 日本では、効き目が疑わしい薬であっても、害が大きくなければ、使い続ける傾向にあるのだ。

 '16年4月~'17年3月の1年で処方された降圧剤のトップ10を見ると、4つがARBだった(院外処方、配合量の異なるものもカウント)。

 オルメテックに限らずARBは日本でメジャーだが、世界を見渡してみると、この状況は普通ではない。

 この国でARBをはじめとした新しい薬ばかりが処方される背景を、新潟大学名誉教授の岡田正彦氏はこう指摘する。

 「新しい薬は値段が高い。だから製薬会社は、従来の薬より少しでも良い点を見つけて、『新しい=良い』と誇大に宣伝します。日本では、医者も患者もこの思惑に騙されて、新しい薬ばかりが重宝されているのです。

 一方、アメリカには国民皆保険がなく、保険の中心は民間保険であるため、値が張るのに効果の薄い薬を使用することは保険会社が許しません」

 糖尿病治療薬でも、日本で頻繁に処方されている薬が、海外では扱いが異なる。

 「DPP-4阻害薬のジャヌビアは、フランスでは保険適用に制限がつけられています」(前出の五十嵐氏)

 DPP-4阻害薬は、低血糖のリスクが少ないという評価がある一方で、新しい作用機序の薬のため、未知の重大な副作用を懸念する声もある。なかでもジャヌビアは、呼吸困難や湿疹、嘔吐をもたらすアナフィラキシー反応や膵炎が報告されている。

 これらの薬をはじめ、海外の先進国では使われていない生活習慣病の薬をまとめたのが、次ページの表だ。長年の生活習慣によって発症する認知症、骨粗鬆症などにも諸外国で危険視されている薬があり、実例には枚挙に暇がない。

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最終更新:11/14(木) 16:46
現代ビジネス

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