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「東京新聞・望月です」直球勝負の記者が暴く「官邸の真実」

11/14(木) 7:01配信

現代ビジネス

東京新聞・望月衣塑子記者の日常

 官邸定例会見で、菅義偉内閣官房長官と激しくバトルしていることで知られる東京新聞・望月衣塑子記者の日常を追った『i-新聞記者ドキュメント-』が、15日(金)、全国公開される。

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 同じ望月氏を題材に、昨年6月に公開されてヒットした『新聞記者』がフィクションなら、こちらはノンフィクション。

 シム・ウンギョンの演じる吉岡エリカ記者が、松坂桃李の扮する官僚・杉浦拓海の力を借りながら暴いていった前作が、フィクションでなければ描けない「官邸の真実」を追えば、今回の作品は、望月氏の日常をリアルに追うことで「官邸の真実」に迫った。

 客観報道に対し、「フェイクニュース」を連発するトランプ大統領の登場は、「私」と「公」が入り乱れ、何が正しい情報かを判断するのが難しくなったネット時代を象徴する。

 それは、真実の揺らぎではあるが、マスメディアに求められるのは、権力の側に依拠しない真実だろう。望月氏は、その立場を鮮明にしている記者である。

 国民の側に立って官邸(権力)に質す――。

 この「国民」を、「生活者」「大衆」「被害者」「マイノリティ」などに置き換えてもいい。

 「きちんとした回答をいただけていると思わないので、繰り返し聞いています。すみません。東京新聞・望月です」

 すっかりおなじみになった官邸会見でのこの言葉は、菅官房長官が発する権力の側からの一方的な情報提供に乗らないぞ、という意思表明。

 それは同時に、「安倍一強」といわれる政治状況のなか、官邸主導の情報発信がいかに強いかの証明で、だから望月氏の奮闘が際立つ結果に繋がっている。

何度も続く「権力の隠ぺい」

 本編で描かれる事件は、辺野古基地移設問題、伊藤詩織・準強姦事件、森友学園・国有地安値払い下げ問題、加計学園問題など。通底しているのは、権力の隠ぺいである。

 沖縄防衛局は、13年、「赤土等の細かい土砂の割合をおおむね10%前後にする」と、県に約束して埋め立ての承認を得ていたが、現在、誰の目にも明らかな大量の赤土が混じった土砂を埋め立てに使用している。

 この疑惑を報じるために、望月氏は大量の資料やパソコンなどが入っているであろうキャリーバッグを引きながら、タクシーで関係者宅を回り、不在なら手紙を残し、反対集会を取材して住民の気持ちを掬い取り、防衛省の官僚には激しく詰め寄る。

 これが新聞記者の日常である。横書きの発表文を、縦書きの新聞に直すだけなら何の苦労もない。「赤土の割合は10%前後」であり、これが沖縄防衛局の“真実”である。

 だが、それを住民の側が覆そうとしても、その証拠を掴むのは容易ではない。「調査のプロ」といえる新聞記者も同じ。そのリアルな現状をカメラは追う。

 監督は森達也氏。オウム真理教を題材にした『A』やその続編の『A2』、ゴーストライター騒動の佐村河内守を題材にした『FAKE』などで知られる。

 森氏の描く骨太のドキュメンタリーは、ただ単に事件や人物を追うのではなく、そこに自分の思いもぶつけ、波乱を起こす。

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最終更新:11/14(木) 7:01
現代ビジネス

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