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ブラック上司の部下にありがちな「表情認識」2つの異常

11/14(木) 15:31配信

HARBOR BUSINESS Online

清水建二の微表情学 第91回

 微表情研究家の清水建二です。私は仕事柄、様々な企業の方々と仕事をさせて頂く機会があります。
 そんなとき、「あれ?この人の上司はブラック上司?」と思われてくる場面があります。それは、怒り表情と熟考表情の違いを説明してもわからない、怒り表情を怖いと思わない、という表情認識の2つの「異常」を感じたときです。

⇒【画像】二つの表情画像例

 怒り表情も熟考表情も共通して、「眉が中央に引き寄せられる」という動きを持っています。見た目としては、「眉間にしわが寄る」表情になります。この動きに加え、様々な表情筋が加わることもあるのですが、この「眉が中央に引き寄せられる」という動きだけが怒りや熟考に伴い生じることがあります。この場合、見た目として、怒っているのか考えているのかわからなくなります。

「うちの上司はいつも険しい顔して怖いんですよね。」という発言をよく耳にしますが、おおむね原因は眉間のしわが怒りなのか熟考なのか見分けられていないからだと思います。

 それではどう見分ければよいのでしょうか。

眉が中央に引き寄せられる表情―怒り・熟考どっち?

 怒りなのか熟考なのか見分けるポイント、それは、スピードです。眉間にしわが現れている時間で怒りか熟考かを見分けることが出来ます。

 通常の会話では、私たちは怒りを抱いても感情のままに振舞うことをためらうため、怒り感情が表情に出ることを抑制します。しかし、抑制しきれなかった怒りが微表情として生じます。したがって、眉間にしわが0.2秒~0.5秒現れたら怒りのサインの可能性が高いでしょう。
 一方、通常の会話で、相手の話が理解出来ない、相手の意見と自分の意見とを比べたい、相手の発言内容を吟味したい、そんなとき熟考します。熟考は相手に隠す必要はなく、「ちょっとタイム」「話のペースダウン」ということを相手に伝えたいため、明確に現れます。したがって、眉間のしわが0.5秒以上現れたら熟考のシグナルの可能性が高いでしょう。

眉間のしわを即座に「怒り」と判断する理由

 大抵の場合、この説明をすると「なるほど」「そう言われれば、そうですね」というリアクションになります。しかし、この説明に実感を抱けない方々に遭遇します。

「いやいや、うちの上司は眉間にしわを寄せていつも怒っている。会議中、理解できない説明を聞くと、眉間にしわを寄せ怒る。」

 その上司、ブラック上司の可能性ありです。もちろん、その上司の方も熟考することはあるわけですが、熟考すべき場面ですぐにイライラしてしまう性格である可能性が考えられます。そんな上司の元で働く部下は、コミュニケーション戦略として、眉間のしわを全て怒りのシグナルととらえ、怒りを治める危機回避的なアプローチになるのではないかと想像できます。
 眉間のしわに対して、質問を促す、間を置く、丁寧に説明し治すという熟考に沿ったアプローチをとると場合によってはコミュニケーションが終わるまでに時間がかかります。もし上司が怒っていたならば、こうした「グズグズ」した対応は上司の怒りに油を注ぐことになります。そこで眉間のしわを見たら、怒りと予防的に判断し、謝罪やご機嫌取りなどのなだめ行動を取り、怒りの増大を回避しようとするのだと思われます。

 ブラック上司の眉間のしわに怒りを読みとり、そのたびにビクビクするといった状態は精神衛生上よくありません。しかし、そうした上司がいる環境で生きていくために部下に出来得る悲しい戦略なのかも知れません。

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最終更新:11/14(木) 20:16
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