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「人手不足でも名目賃金下落」の異常事態が起きたメカニズム

11/14(木) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 これまで日本で実質賃金が低下することはあったが、名目賃金が長期間にわたって低下することはなかった。ところが現在、日本では、名目賃金が継続して低下している。

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 人手不足が言われる中で名目賃金が低下しているのは、重大な問題だ。

 その基本的原因は、零細非製造業の減量経営だと考えられる。

● 零細企業の「減量経営」が根本に 売り上げ、利益減少で人員整理

 法人企業統計調査を見ると、全産業での給与水準の下落は、2018年7~9月期から継続している現象だ。

 このことは、前回のコラム「製造業の利益縮小と賃金低下、日本経済は『縮小局面』に入った」(2019年11月7日の図表5)で指摘した。

 他方で、輸出の減少は、その回の図表2で示したように、19年になってから生じたことだ。

 したがって、賃金低下は、最近の輸出減少だけでは説明できない現象だ。

 では、どのようなメカニズムで賃金低下が始まったのか?

 これを見るために、法人企業統計調査によって、産業別・企業規模別の状況を見ることにしよう。

 以下では、資本金10億円以上の企業を「大企業」、1000万円以上2000万円未満の企業を「零細企業」と呼ぶことにする。

 ポイントは、零細企業にある。

 図表1に見るように、零細企業では、17年10~12月期以降、売り上げの対前年同期比が継続してマイナスになっている。

 また、図表2に見るように、営業利益の対前年同期比も、18年7~9月期以降、継続してマイナスになっている。

 他方で、給与水準(1人当たりの人件費)の推移は、図表3に示すとおりだ。

 17年には給与水準が上昇した。

 これに対応して、零細企業は減量経営、人減らしを行なったと考えられる。

 事実、図表4に見るように、17年において零細企業の人員の対前年伸び率は、マイナスになっている。

 18年には、人員が増加した。これは、後でふれるように、配偶者特別控除の改正によって非正規就業者が増えたことの影響が大きいと考えられる。

 増加したのが賃金の低い非正規就業者だったため、全体としての給与水準は低下した。

 なお、図表2に見るように、零細企業の営業利益は、いまに至るまで増加に転じていない。つまり、非正規就業者の増加は、零細企業の問題を解決することにはならなかった。

 非正規の増加は、つぎに指摘するように、むしろ大企業の利益を増やすことに寄与したと考えられる。

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最終更新:11/14(木) 10:20
ダイヤモンド・オンライン

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