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米国の中東介入「3連敗」の敗因は情報分析の誤り

11/14(木) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● 米軍、シリアから撤退 アフガン、イラクに続く失敗

 トランプ米大統領は10月6日、シリア北東部マンビジュに最後まで残留していた米軍約1000人の撤退を表明した。

 シリアのアサド政権の排除を目指して内戦に介入して以来8年余り、米国は右往左往を続け、反アサド勢力のうち最強だった「イスラム国」(IS)をシリア軍、ロシア軍などと共に攻撃し壊滅させた。

 これをトランプ氏は「勝利」と誇るが、本来の目的だったアサド政権の転覆とは逆に、その存続に貢献したからオウンゴールをして「シュートを決めた」と自慢するような滑稽な結末になった。

 それだけでなく、湾岸戦争後28年間米国に協力しイラクとの戦争やIS討伐では先兵として勇戦敢闘したクルド人部隊を見捨てた。

 トルコ軍がシリア北部のクルド人地域に侵攻するのを黙認したことは、米国議会でも忠実な戦友に対する「裏切り」と非難された。下院では354票対60票で「撤退非難決議」が可決、与党共和党の下院議員199人中129人が賛成票を投じた。トランプ政権の大失態だ。

 米国の中東介入は、失敗続きだ。2001年にはアフガニスタンを攻撃しタリバン政府を倒した。だが親米政権が混乱を続け腐敗が生じる中、旧来の慣習に根ざすだけにタリバンは勢力を回復、同国の約半分を支配、都市を包囲攻撃している。

 18年も米軍が駐留しても情勢は好転せず、米国はかって悪の権化のように非難していたタリバンとの和解をはかり、面目を保った撤退を目指す。 だがタリバンは頑固で協議は進まない。タリバンに和解を求めること自体、米国が敗北を認めた形だ。

 イラクでも米国は2003年4月にバクダッドを陥落させ、5月には勝利宣言をした。だがフセイン政権の残存勢力の抵抗やスンニ派とシーア派の内戦が続き、占領統治は困難を極めた。

 2011年12月、米軍は荒廃と混乱のイラクから撤退し、「戦闘で勝っても戦争では負けた」典型的な例となった。米国はアフガニスタン、イラク、シリアで「3連敗」となった。

● 圧倒的な情報収集力だが 情報分析で問題抱える

 米国の軍事費は世界最大で、ストックホルム国際平和研究所の集計で昨年6490億ドル、第2位の中国の2.6倍と断トツだ。

 金額が示すように総合的軍事力では圧倒的に強力で、特に軍のIT化では群を抜いている。

 また数百万回線の電話やインターネット通信を同時に傍受し解読、翻訳できるNSA(国家保全庁、職員推定3万人余り)を持ち、画像偵察衛星(レーダーを含む)16機、電波傍受衛星27機、空軍の無人偵察機約250機などなど、技術的情報収集能力は絶大だ。

 情報経費は年間約440億ドルといわれ日本の全防衛予算に近い。

 余談になるが、米国が目の敵にしている中国の華為技術(ファーウェイ)は今年上半期の売り上げが前年同期比23.2%増、世界の通信業者50社と契約し、うち28社は欧州(英国で3社)とされる。

 EUは以前から米国主導の傍受組織「エシュロン」に情報を取られていることを知っており、「いずれにせよ情報を抜かれるのなら安い方がまし」との考えもあるそうだ。「米国が華為を警戒するのは5Gが普及するとNSAによる解読が困難になるからだ」との説もある。

 これほどの軍事力と情報収集能力を持ちながら、米国がアフガニスタン、イラク、シリアと失敗を続けたのは情報分析に問題があるためだろう。

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最終更新:11/14(木) 9:40
ダイヤモンド・オンライン

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