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激化する「 フードデリバリー 」の覇権争い:ブランドではなく、利便性が勝敗を分ける

11/15(金) 9:01配信

DIGIDAY[日本版]

フードデリバリー市場は、圧倒的な勝ち組から、もっと雑然として混み合った領域へと変容しつつある。その中心にあるのは、利便性はブランドロイヤルティを凌駕するかという論争だ。

グラブハブ(GrubHub)が最近発表した収益報告書はこの業界の激変ぶりを示している。この創業15年の料理宅配アプリが発表したところによると、第3四半期の収益は3億2200万ドルで、当初の推定額3億3050万ドルに届かなかった。注文件数は前年に比べて15%程度下落した。さらに、同社が発表した来四半期の業績見通し、いわゆるガイダンスも低調だった。この結果を受けて、複数のアナリストが同社に対する評価を下げ、株価は40%も下落した。

グラブハブの業績低迷は、レストラン宅配の代行サービス業界全体の今後を見通す、ひとつの指標を呈している。投資家向けの業績報告で、マット・マロニー最高経営責任者(CEO)は、増大する懸念材料として、ユーザーの移り気を指摘した。というのも、同プラットフォームはリピート顧客に依存して、その高い市場シェアを維持してきたからだ。しかし、競合する企業が増え続けるなかで、顧客は常にもっとも良い条件を探している。ブランドロイヤルティよりも、単発のディスカウントが優先されるのが現状だ。かくしてグラブハブも、この変化に対応して、戦略全体を見直さざるを得なくなった。同社の当期業績が示唆する通り、急伸するデリバリー市場の覇権をめぐる争いは、ほぼ確実に、ブランドアウェアネスではなく、利便性と規模が勝敗を分けるものとなるだろう。

ライバルたちとの争い

この争いの中心にはいくつかのメインプレイヤーが存在している。グラブハブとシームレス(Seamless)は、レストランに宅配代行サービスを提供し、手数料をもらい受ける。レストランは広告費を支払って、自分たちの店を検索結果の上位に表示させることもできる。グラブハブは自社のサービスを所有していないレストランに独自の配送サービスを提供しているが、利益を上げるためには主にほかのサービスからの収益に依存している現状だ。ウーバーイーツ(Uber Eats)やドアダッシュ(Door Dash)のような新参企業は、すでに成長したビジネスのおかげで、フードデリバリーのサードパーティプロバイダーになっている。彼らは、自前で宅配車両を保有するだけの資金力を持たない中小の事業者に、市場参入の道を開いた。さらに、(レストランが自社ブランドのソリューションとして使用できる)ホワイトラベルのバックエンドソフトウェアを提供する、オロ(Olo)のような事業者も現れている。大手のレストランはこのような宅配支援のソリューションを店のサイトに統合することにより、独自のオンライン注文システムにデリバリー機能を組み込むことができる。

このような料理宅配アプリを利用する消費者が増える一方で、その成長を加速させているのはディスカウントやプロモーションである。結果的に、これがグラブハブのような事業者の業績低迷を招いている。レストラン宅配のエコシステムには、いまや多くのプレイヤーが入り乱れ、結果、大手が打撃を受けている。長く業界を牽引してきたグラブハブだが、ドアダッシュにより、その勢いに陰りが生じているのだ。

先の四半期の業績は、グラブハブ、ウーバーイーツ、ドアダッシュらが互いに顧客を奪い合うという当然の帰結を示唆している。グラブハブのマロニー最高経営責任者とアダム・デウィット最高財務責任者は、株主宛ての書簡で、単刀直入にこう指摘している。「ブランド認知のキャンペーン、顧客向けのインセンティブ、ドライバー向けのインセンティブ、レストラン向けのインセンティブに数十億が注がれるのだから、容易に手の届く『アナログ』な顧客がオンライン注文の大きなメリットに気づかないわけがない。結果的に、この市場の旨みは、我々が予想していたよりも若干早く消滅しつつある」。

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最終更新:11/15(金) 9:01
DIGIDAY[日本版]

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