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「ゾゾ」物作りを甘く見てPB事業は惨敗

11/15(金) 5:00配信

商業界オンライン

「ゾゾタウン」を運営するゾゾがヤフー(現Zホールディングス)に買収され、社長で創業者の前澤友作氏が退任した。1998年の創業から21年。年間商品取扱高は3231億円と日本最大のファッションEC(電子商取引)モールに育ったが、プライベートブランド(PB)「ゾゾ」の失敗と割引施策「ゾゾアリガトー」への反発で業績が悪化。しかし前澤氏は再成長に挑戦することもなく「わが子」と称していた会社を手放すことになった。

ゾゾスーツの大量生産に失敗

 前澤社長(当時)は昨年4月に発表した初の中期経営計画で「ファッション革命を起こす」とし、目標数値として10年後に時価総額で「オンラインSPA(製造小売業)世界ナンバーワン」と「グローバルアパレルトップ10入り」、そして「10年内に時価総額5兆円」を目指すと宣言した。

 その武器にと開発したのが、体形採寸用ボディスーツ「ゾゾスーツ」とPB「ゾゾ」の発売だった。「ネットで購入する際のハードルになる『サイズ感が分からない』という問題を解決したい」「自分サイズの服が簡単に選べ、オンデマンド生産された服を買えるようにしたい」との狙いがあった。

 中期計画では、2021年3月期に商品取扱高5150億円、営業利益900億円を設定。PB売上高は19年3月期に135億~225億円、2年目に800億円、3年目の21年3月期に2000億円という野心的な数字を掲げた。

 しかし、もくろみはすぐに崩れた。初代ゾゾスーツはニュージーランドのスタートアップ企業が開発した伸縮センサー内蔵型で予約注文も殺到した。ところが大量生産に失敗。遅延が続き、ついに仕様を大幅に変更した。

 2代目ゾゾスーツはゾゾの子会社が開発したマーカーを読み取る画像認識型となったが、水玉模様の全身タイツ姿は6~7割を占める女性客が喜んで着たいと思えるものではなかった。カメラを固定して自分で360度回りながら12回も撮影しなければならないアナログ感や面倒くささもあった。

 実質無料配布ということもあり、注文数は3カ月で100万件超となったが、実際に撮影・採寸してPBを注文するお客の割合は想定を大きく下回った。

 PBの販売や新規顧客獲得のための販促ツールに脚光が当たり過ぎて商品に目が向かなかったことも敗因だ。

 肝心のPB「ゾゾ」でも目玉のビジネススーツで商品の不具合や生産遅延などが発生。「物作りを甘く見ている。失敗するぞ」という業界の声が現実になった。ゾゾスーツをフックにPBの海外売上高比率を3年後に40%、10年後には80%にしたいとも表明していたが海外展開も中止した。

 結局、19年3月期の商品取扱高は3231億円(前期比19.4%増)、営業利益は上場来初の減益となる256億円(同21.5%減)に。200億円を見込んでいたPB事業売上高はわずか27億円で計画達成率は13.5%だった。サブスクリプション型の「おまかせ定期便」も廃止。新たな収益の柱にするとしていたBtoB(事業者間取引)事業や広告事業(30億円の計画に対し14億円)も目標を大きく下回った。

 新たなチャレンジが立て続けに不発となったわけだが、時価総額5兆円を目指した「前澤コミットメント」が、結果として無理やひずみを生み出し、社内や取引先を混乱させた格好だ。

 

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最終更新:11/18(月) 9:24
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