ここから本文です

袋小路の日韓と北東アジアの安全保障:戦略的思考で歩み寄りを

11/15(金) 15:14配信

nippon.com

マイケル・グリーン Michael Green

東アジアの安全保障環境を悪化させているのは、中国や北朝鮮だけではない。日韓関係の深刻な対立も、地域の不安定化に直結する。筆者は、関係悪化の責任は韓国にあるものの、大局を見れば修復に動くのが最も得策だと指摘する。

危機に直面するタイミングでの対立激化

歴史家は将来、現在の日韓のあつれきを振り返ってどのような評価を下すだろうか。おそらく東アジアの危機が高まる中で、ソウル、ワシントン、東京のそれぞれが戦略的なミスを重ね、そこでどうすべきか困った両国がぶつかり合ったとみるのではないか。2019年の夏から秋にかけ、日米・米韓同盟への脅威が高まった。中国とロシアは日本と韓国の防空識別圏(ADIS)上空で初の共同爆撃機訓練を実施した。韓国はこうした露骨な威圧行動に連携して対抗するのではなく、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。

一方、北朝鮮は核兵器能力の増強と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)のテストを続けた。それは本来なら、日米韓の緊密に連携した圧力と抑止の対抗措置を促すはずのものだった。だが、韓国と日本はごくささやかな防衛交流でさえ行うことができず、米韓軍事演習も2018年のシンガポールでの北朝鮮との合意によって実施できないでいた。

そして、そこにはドナルド・トランプ米大統領の存在がある。彼は韓国に対し、米軍駐留経費負担(「特別措置協定」と呼ばれる)を12月までに何と5倍に増やすよう要求した。これは大統領がツイッターで突然、韓国からの米軍撤退を公言するのではないかという恐怖を高めた。そして、ワシントンを訪れた日本と韓国の当局者は、日本自身の安全保障にとって不可欠なこの前方防衛線を維持すべく、ワシントンの同盟勢力と力を合わせて努力するのではなく、両国間の対立でそれぞれの立場を支持してくれるよう米側に働き掛けることに主として力を注いだ。

こうした状況になった責任は誰にあるのだろうか? それは2つのレベルで考える必要がある。つまり戦術レベルと戦略レベルである。戦術レベルでは、米国だけでなくオーストラリアや英国といった他の同盟諸国の政府の中にも、主として韓国の文在寅大統領に責任があるという点で幅広いコンセンサスがある。

私はホワイトハウスや戦略国際問題研究所(CSIS)にいた間、何度か文在寅氏と話をしたことがあり、個人的には彼が生来の反日派とは思っていない。だが、現在の青瓦台は進歩派の人々であふれており、彼らは財閥や外務省、米韓同盟、対日関係など、韓国における全ての保守派支配構造を弱体化させることを目指している。

韓国の進歩派の保守派組織への全面的な攻撃姿勢はある意味、民主党の鳩山政権下で小沢一郎氏が行った、経団連や外務省、日米同盟など標的にした攻撃に似たものがある。

1/5ページ

最終更新:11/15(金) 15:14
nippon.com

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事