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中国アリババが技術と物流の限界に挑む!「独身の日」真の注目点

11/15(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 かつて世界最大の商戦日は、米国のブラックフライデーだった。近年、それに取って代わったのが中国のインターネット通販商戦、双十一(ダブルイレブン)。巨大市場の消費者がアパレル製品を、家電製品を、化粧品を買いまくる。そしてその背後には、着々と競争力を高める中国ハイテク企業があった。
(ジャーナリスト 高口康太)

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 世界最大の商戦日、それが中国の「双十一」(ダブルイレブン)だ。数字の1が四つ並ぶ11月11日を「独身の日」として、友達同士で盛り上がる若者文化がもともとあった。そこに目を付けたアリババ・グループが2009年、インターネット通販(EC)の大型セールを始めたのがきっかけ。彼、彼女がいなくても買い物できれば楽しいぞ、という趣旨はやや痛々しいが、今となってはそんな発端など、どうでもいいぐらいの巨大セールに発展した。

 今年は前年比1億人増の5億人がアリババのセールに参加。GMV(流通総額)は前年比26%増の2684億元(約4兆2944億円)と、過去最高を更新した。発送された荷物の数も膨大。12億9200万件と前年よりも2.5億件の増加となっている。

 今ではダブルイレブンのセールは、JDドットコム(京東集団)やピンドゥオドゥオといった、複数の中国EC事業者も大々的に展開している。こういったEC業者を合わせたGMVは4101億元(約6兆5616億円)で前年比30%増の成長を記録している(中国国際金融の調査)。だがこの中でアリババ1社が7割弱を占めていることを考えると、やはり突出した存在だ。

 金額にばかり目を奪われがちだが、アリババはこの日を自らの技術力の限界を試し、さらに成長させる機会として位置付けている。

 決済に伴うトランザクションは今年のピーク時で1秒当たり54万4000件という膨大なアクセス数を記録したが、システムダウンすることなく乗り切った。世界最大のネット商戦で鍛え上げられたこのサーバーシステムは、近年はクラウドサービスとして外部にも提供され、アリババにとっての新たな収益源となっている。傘下のモバイル決済システム、アリペイの不正取引防止プログラムも、毎秒6100万件の取引を監視できるほど高速化された。

 仮想空間においてだけでなく、物流にまつわる技術やノウハウも飛躍的に向上している。かつては日本以上に「物流崩壊」が問題となり、山ほどの荷物を配達し切れないと逃げ出した末端の配送事業者もいたくらいだ。この物流崩壊は、ITと資金をつぎ込むことでほぼ解消している。

 例えば過去のデータを駆使した予測技術で、セール前に消費者に近い倉庫に在庫を確保。また、高速鉄道(日本の新幹線に相当)を貨物便としてチャーターしたり、海外からの輸入品配送のために貨物機を100機確保したりした。その結果、物流崩壊を乗り切ったばかりか、大都市では注文した翌朝には商品が届き始めており、消費者からは改めて驚きの声が上がっている。

● 販売データで製品開発 「アリババ製技術」を資生堂が輸入する日

 このアリババのダブルイレブンが、日本企業にとって大きなビジネスチャンスであるのは言うまでもない。ユニクロ(ファーストリテイリング)は11日午前0時の商戦開始からわずか16分で、販売額5億元(約80億円)突破を宣言(写真)。商戦終了時点では米アップルや米ナイキなどと共に、GMV10億元(約160億円)を突破した15ブランドに入った。

 また輸入品のカテゴリーでも、ブランド別ランキングのトップに美顔器、化粧品のヤーマン、3位に花王、7位にムーニー(ユニ・チャームのおむつブランド)と三つがランクインした。国別輸入元で見ても、日本が米国、韓国、オーストラリアなどを抑えて4年連続のトップになっており、中国の消費者に日本製品がいかに支持されているかが分かる。

 もとよりアリババは、ダブルイレブンにとどまらず、巨大市場中国における最大の流通企業。「アリババとどう付き合うか」はもはや、企業の事業戦略における一大論点となっている。

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最終更新:11/18(月) 16:00
ダイヤモンド・オンライン

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