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JR西「終電繰り上げ」は日本の働き方を変えるか

11/15(金) 5:25配信

東洋経済オンライン

 JR西日本が24時以降の深夜運転時間の繰り上げなどの検討を始めると発表した。都市部では深夜1時台まで列車の運転はこれまで何の疑問もなく当たり前であった。その当たり前の見直しに着手したというのは、結論がどうなるかはともかくとして画期的なことではある。

 報道を初めに見たときには運転要員の「働き方改革」の一環かと思ったが、そうではなく保線要員の「働き方改革」が目的のようである。

■保線の時間確保が課題

 JR西日本の発表によれば、この見直しは次のような事情による。

 線路の保守点検作業に携わる人員の数が、ある関連会社において10年間で23%も減少していることから(建設業平均では9%減)、終電後初電までの間の時間を長くして1晩当たりの作業時間を増やし、休日をとりやすくすることで人員の確保をする、という必要がある。

 一方、鉄道利用者等の帰宅時間が早まる傾向にあり、主要駅である大阪駅、京都駅、三ノ宮駅の2018年度平日平均の利用者数が2013年度との対比で、17時台から20時台までの利用者が100%超えとなっているのに対し、21時台から23時台までが90%程度、24時台では80%程度となっている。そのため、深夜の保線作業の時間を確保するために終電の繰り上げを検討する、とのことである。

 JR西日本は、すでに「労働力不足に対するメンテナンスの取り組み」として、2019年5月、比較的輸送量の小さい山陰本線の一部で昼間の列車を3日間運休させた線路の保守点検を実施している。

 しかし都市部では日中の列車を運休させるわけにはいかず列車が走らない夜間などを中心に保守点検を行わざるをえない。終電が過ぎたのを確認してから作業に入り、始発が走り出す前に線路からは離れなければならないことを考えると、作業時間は3時間程度しかないこともあろう。

 そこで使う作業用車両や道具の後片付けなども考えれば相当に時間的制約が厳しいことは想像にかたくない。それが保守点検要員の労働日数の軽減を妨げ休日をとりにくくしていること、それにより敬遠されているということも容易に想像できることではある。

■終電繰り上げは合理的か

 「働き方改革」の動きは「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が2018年に成立するなどして急速に広がってきた。労働者の過労によるさまざまな影響の防止の動きや「ワークライフバランス」などという言葉とともに世間に広く浸透している。

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最終更新:11/15(金) 5:25
東洋経済オンライン

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