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犬の脳を乗っ取り理由なき怒りを湧きあがらせた挙句ほぼ100%死亡に至らしめる狂犬病ウイルス【えげつない寄生生物】

11/15(金) 7:00配信

デイリー新潮

 ゴキブリを奴隷のように支配したり、泳げないカマキリを入水自殺させたり、アリの脳を支配し最適な場所に誘って殺したり――、あなたはそんな恐ろしい生物をご存じだろうか。「寄生生物」と呼ばれる彼らが、ある時は自分より大きな宿主を手玉に取り翻弄して時には死に至らしめ、またある時は相手を洗脳して自在に操る様は、まさに「えげつない!」。そんな寄生者たちの生存戦略に、昆虫・微生物の研究者である成田聡子氏が迫るシリーズ「えげつない寄生生物」。第15回は「脳を乗っ取り凶暴化させる寄生ウイルス」です。

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 穏やかな犬を狂犬に変える寄生ウイルス。それは狂犬病ウイルスです。このウイルスに感染した犬はウイルスに操られ口からよだれを垂らしながらうめき、攻撃的になり、他の人や動物を咬むことが多くなるのです。このウイルスは感染した生物の脳を操り理由なき怒りを湧きあがらせ、他の生物に感染させるために咬むように仕向けるのです。

 ゾンビ映画では、ゾンビに咬まれてしまった人間はゾンビになり、ゾンビになった人は元の人間性を失い、動きも異様で、凶暴になり、他の人間に咬みつくようになるというのが、お決まりのゾンビ生態です。このゾンビの特徴は、狂犬病の症状に類似しています。

 狂犬病は犬だけでなく、人間にも感染します。もちろん、他のあらゆる哺乳類も感染します。そして、いったん発病すると治療方法がなく、ほぼ100%が死亡する極めて危険な感染症です。

いまだに蔓延する狂犬病

 狂犬病が犬から人に感染することは、少なくとも3000年以上前のバビロニア人には知られていました。そして、現代でも、撲滅できないばかりか、大きな脅威となっており、毎年世界中で約5万5千人の死者を出しています。それら狂犬病によって命を落とす人の多くは子どもで、狂犬病が疑われる動物に咬まれた人の40%は15歳未満の子どもです。

 そして、感染地域の95%以上はアフリカとアジアですが、日本では内部の発生は見られておりません。しかし、日本においても祖父母の時代あたりまでは狂犬病の蔓延に苦しんでいました。

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最終更新:11/15(金) 7:00
デイリー新潮

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