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台風の日に社員以外を居残らせた会社、訴えてもいいか

11/16(土) 7:00配信

マネーポストWEB

 9月と10月に相次いで台風が日本列島を襲った際は、鉄道会社が計画運休を行ったこともあり、多くの企業が社員に帰宅命令を出したが、大型台風が迫っているのに社員以外を居残らせた場合、訴えることはできるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 台風直撃の日、アルバイトで働いている電子機器の工場では社員たちが夕刻から帰宅。私のようなバイトや派遣社員、下請け会社の社員が工場の管理、警備などを任されました。要はお前たちだけで工場を守れよってことです。本社の私たちに対する扱いはあんまりで、労働基準局に訴え出てもよいですか。

【回答】
 台風などの自然災害に備え、労働者を早期に帰社させるのは、雇用契約に基づく業務命令によりなされるものです。早期帰宅を命じる目的は、労働者の帰宅を確実にして必要な休息を確保したり、自宅の防災措置を講じさせるなどの一種の福利厚生といえます。

 ところで、アルバイトは会社との雇用契約にあります。派遣労働者の雇用関係は派遣元との間にありますが、業務上の指揮命令は派遣先から受けます。職場の指揮命令に従う点では、アルバイトや派遣労働者は正社員と同じです。

 同じ仕事で待遇に差別があるのは問題です。昨年末に公表された「同一賃金同一労働ガイドライン」は、企業に正社員と有期雇用労働者及び派遣労働者との間の不合理な待遇相違の解消等に向けた取り組みを求め、賃金だけでなく福利厚生の面も課題としています。

 また、今回のご相談の場合、短時間・有期雇用労働法8条では正社員との不合理な差別を禁止しているので、同じ仕事をしているアルバイトにも同様の配慮をする必要があったと思います。

 派遣労働者の場合も、労働者派遣法30条の3で派遣元業者に、派遣先労働者との不合理な待遇を禁じています。派遣元は派遣先との派遣契約で差別的扱いをしないように合意しておくべきでしょう。

 これらの規定に違反したからといって罰則の適用はありませんが、不合理な差別の程度によっては、不法行為となる可能性があります。こうした待遇上の問題については監督署に相談すれば、都道府県の労働局長の援助や指導を受ける可能性もあります。請負の場合、請負企業労働者への指揮命令は請負業者がします。しかし、発注者は自然災害のような場合には、事業所の管理権の行使として退社を指示できる場合もあると思います。

【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2019年11月22日号

最終更新:11/27(水) 17:38
マネーポストWEB

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