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日本初・女性職人のみ!アキバ「なでしこ寿司」店長の苦悩とプライド

11/16(土) 11:01配信

現代ビジネス

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戦後の闇市でマニアをはじめとした世界有数の電気街として発展した東京・秋葉原(千代田区)。時代は進み、AKB48発祥の地から、今やアイドルやアニメファンの聖地と言われるようになった「アキバ」のど真ん中に一見、メイドカフェのようなカラフルな看板が目を引く寿司屋がある。
ビルの2階に上がって店内に入ると、小さくてちょっとほっこりするような見た目の女子が、ちょこまか動き回っている。ここが日本で唯一、女子職人のみが寿司を握る「なでしこ寿司」だ。
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飲食店経営に手を出して地獄を見る人の「三つの共通点」

 日本の代表的な食文化である寿司。歴史は古く、ルーツは紀元前という説もあるが、握り寿司が広まったのは「江戸前寿司」がきっかけ。かつて魚介の宝庫だった東京湾の魚や海苔を使った握りが屋台で人気となり、全国各地へ普及。世界的なヘルシー志向や和食ブームに乗って、今や海外でも人気の料理となった。

 暖簾をくぐれば「へい、いらっしゃい」と、ねじり鉢巻きの職人が迎え、おもむろに小気味よく1カン1カン握った寿司を、うんちくをこぼしつつ「ポン」とカウンターの「ガリ」の横に添える粋な風景が浮かんでくる。

 こうしたこだわり職人が握る寿司とは対照的に、若い女性職人が板場で粛々と作業し、小さな手で優しく握る寿司店が「なでしこ寿司」。

 店長の千津井由貴さん(33)は開店から10年目を迎え「寿司=男職人」といった固定概念を打ち破ろうと、日々板場に立ち続ける。その背景には、多くの偏見による屈辱の過去があり、想像を超える厳しい現実が立ちはだかったという。寿司職人らの苦悩とプライドに迫ってみた。

住み込み見習いに難あり

 そもそも、女性の寿司職人の姿をまったくといっていいほど見ないのは疑問だ。

 寿司店や水産関係者に聞くと、寿司職人にはまず、魚を仕入れてさばく力仕事がつきものだけに、女性は不向きとみる向きが多い。大型マグロ1本を仕入れる寿司店は少ないだろうが、カツオやブリなど、魚を1匹丸ごとさばかなければいけないことは多い。最初に力仕事が伴うだけに「男の仕事」になりやすい。

 これに対し、なでしこ寿司の板場は男子禁制。千津井さんはアジ、サバなどの大衆魚はもちろん、小さな体でなんと30キロ以上のマグロをさばいたこともあり、仕込みは心配なし。ネタは定期的に築地から移転した豊洲市場へ出向いて仲卸店で品定めに行っており、魚の目利きにも自信があるという。

 明治20年に創業、130年余り続く東京・日本橋(中央区)の寿司店「都寿司」の4代目店主で、全国すし商生活衛生同業組合連合会の会長を務める山縣正さん(71)は、女性寿司職人がほとんどいない要因として、住み込み修行がしにくい点を指摘する。

 都寿司もそうだが、街の寿司店では職人を目指す若者を住み込みで面倒をみることが多く、店によっては相部屋で寝泊まりさせることも少なくない。男女一緒にするのも難しいことから、女性を雇い入れる場合は個室がないと受け入れにくい。

 そればかりか、店内での力仕事や近所への出前などを頼むにも、やはり男のほうが使いやすいのは言うまでもない。男職場だけに、女性が入れば他の職人も気をつかってしまうことにもなろう。このほか個人差もあろうが、山縣さんは女性の身だしなみとしての化粧も、寿司職人としてふさわしくないとの見方を示す。

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最終更新:11/16(土) 11:01
現代ビジネス

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