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「下あごがガクガクと震えていた」 楽天・由規の復活と、後輩の戦力外。

11/16(土) 11:41配信

Number Web

 「みんなプロの世界で勝負しているんで、しょうがないことだと思います。本人たちが一番わかっているんじゃないですか?」

【秘蔵写真】ヤンチャそうな吉田輝星に中田翔&森友哉、ゴツい平田に細い浅村、根尾、藤浪の大阪桐蔭時代。

 ――高校の後輩が戦力外になって、当然、悲しさはあると思うけど。

 そう尋ねると、楽天の由規は少しだけ間を置き、冒頭のように述べた。

 仙台育英時代の1学年下で、巨人を経て今季からともに楽天でプレーすることとなった橋本到。同校の後輩で今年が高卒2年目の西巻賢二が戦力外通告を受けたことについて、由規は冷静に言葉を選んだ(西巻はその後ロッテ入りが決定)。

 ただ、それはあくまで、冷静を装っているように感じられた。

 由規の表情を探れば、それは一目瞭然だった。「泣き虫王子」と呼ばれていた入団当初のように、すぐに涙腺が緩むことはない。ただ、遠くを見ながら気を紛らわし、本音を避けているようでもあった。

「やっぱり……寂しい」

 だから、ややアプローチを変えて聞いた。

 ――プロとしてではなく、高校の先輩としての気持ちはどうか? 

 由規が衣を脱ぎ捨てる。

 「地元の楽天のホームで、育英出身でセンターライン(投手・由規、遊撃・西巻、中堅・橋本)を組みたい」と、願望を掲げていた先輩が、大きく息を吸い込む。想いが、言葉となって湧出する。

 「やっぱり……寂しい。特に、到は高校のひとつ下だし、同じタイミングで楽天に来て、地元仙台で、一軍で一緒にプレーしたい気持ちが強かったので。西巻とは年が離れているけど、高校の後輩だし気にはしていて。『まさか2年で』って本人も思っていると思うんですよ。

 でも、ここで終わりじゃないんです。ふたりが次にどこでプレーするかわからないけど、新しいところに行ってから見えるものって必ずあるから。自分がそうだったんで。だから、やれることをやって、やれるところまで野球を続けてほしいですね」

諦めなければ、リスタートはできる。

 自分がそうだった。

 プロ野球選手としての生死の境を知りながらも諦めず、今季、481日ぶりに一軍マウンドに立ち、その雄姿を故郷に焼き付けた。

 新天地の楽天で見えたもの。それは、「諦めなければ、いつでもリスタートできる」という確信だった。

 ヤクルト時代から右肩の怪我に悩まされてきた。3年目の2010年に当時の日本最速である161キロを叩き出した剛腕は、2011年を最後に一軍登板から遠ざかり、復帰するまで実に1771日もの歳月を費やした。

 投手にとって肩とは命だ。

 肘とは違い、一度メスを入れればパフォーマンスは著しく低下し、人によっては選手生命を大きく削られることにもなる。由規にしても、かつての剛速球は鳴りを潜め、18年の6月にはまたも右肩が悲鳴を上げた。

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最終更新:11/16(土) 11:41
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