ここから本文です

自衛隊は“便利屋”ではない。災害派遣された自衛官のタメ息

11/16(土) 8:55配信

週刊SPA!

―[自衛隊ができない100のこと/小笠原理恵]―

その69 一人ひとりの「自助」の精神が「命を守る」

自衛隊の本分はあくまで「国を守る」こと――

 近年、日本列島では台風や地震や大雪などさまざまな災害が起こります。台風19号は各地で記録的な豪雨を降らせ、多くの人が不自由な避難生活を余儀なくされました。

 災害規模が大きくなればなるほど、「自治体」「警察」「消防」「自衛隊」「ボランティア」等、さまざまな人たちが被災地に召集されます。

 東日本大震災の大規模な自衛隊の災害派遣で、自衛隊への評価はガラリと変わりました。自衛隊は国を守る「防衛」を担う組織です。しかし、平和な時代が長かった日本人は「国を守る」ことの重要さを認識している人は少なく、自衛隊は災害派遣や人命救助をやっていればいいという人もいます。

 東日本大震災のような原発事故も含む広大な範囲の災害に対しては自衛隊を投入するしかなかったと思います。しかし、自治体だけでも対処できそうな「口蹄疫」や「鳥インフルエンザ」など家畜の疫病対策にも“便利”に自衛隊が使われています。

 都道府県には警察や消防があり、地元の業者もたくさんいます。自衛隊を投入する以外にほかに方法がない事例でなくとも、安く迅速に動いてくれる自衛隊を“便利屋”のように使うことになっていないか心配です。

「優しい自衛官」と「災害ゴミ」

 土砂災害の現場では倒壊した家屋や川から流れ込んだ土砂など「災害ゴミ」が発生します。通常では考えられない量のゴミと土砂ですから、各自治体では特別なごみの収集を行っているはずです。

 自衛隊の任務は「機能回復までの応急的な復旧」で、活動範囲は「幹線道路や公共施設のみ」と定められています。でも、お年寄りが家から運び出せない粗大ごみを、規定通りに出せと言われて途方に暮れています。優しい自衛官がそれを見過ごせるわけがありません。見るに見かねたある自衛官は、そんな困っているお年寄りに代わって、災害ゴミを分別し集積場まで運んでいるそうです。

 自治体によっては、分別してないと絶対に受け取らないところもあります。一方、明らかに災害ゴミではない廃棄物を「これ幸い」と捨てに来る輩もいます。やっと大量のゴミを分別して片付けたら、見知らぬゴミが軽トラでドサッと置かれると、屈強な自衛官でも心が折れてしまいます。

 件の自衛官は「ゴミがそのままの町は『ここは捨てて平気だ』という心理が働きます。衛生上の問題は言わずもがなですが、『秩序への無関心』は犯罪を助長します。ゴミはゼロにしなければなりません……」とため息をついていました。

 彼の優しさは報われないようです。平時の感覚で災害時のごみ行政を行っては、被災者も自衛官も大変なようです。災害時には自治体も被災者対応に大変です。大量の災害ゴミになかなか対応できない場合もあるかと思います。豪雨災害は毎年規模を増しています。必要な対策を打てるのは自治体のことを知り尽くした「役所の人(地方公務員)」ではないでしょうか?

 そこで提案です。自衛隊員は50代前半で定年を迎えます。その後、僅かな若年給付金だけでは定年まで生活ができませんから再就職します。その再就職先に退職自衛官はどうでしょうか? ぜひご検討ください。

1/3ページ

最終更新:11/16(土) 8:55
週刊SPA!

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事