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フランス人が見たU-22日本代表。「久保建英らは絶対にチェックに行く」「ヴェンゲルも言っていた」

11/17(日) 17:04配信

フットボールチャンネル

U-22日本代表は17日、キリンチャレンジカップ2019でU-22コロンビア代表と対戦し、0-2で敗れた。この試合中、日本サッカーに精通するフランス人ジャーナリストのフローラン・ダバディ氏に随時話を聞いた。(語り手:フローラン・ダバディ)

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●久保と堂安は「リーダーシップの見せどころ」

――本日はU-22日本代表対U-22コロンビア代表の試合を見ながら、お話を伺いたいと思います。よろしくお願いします!

「よろしくお願いします!」

――久保建英、堂安律、板倉滉といったA代表の選手もスターティングメンバーに並びました。

「右サイドには橋岡(大樹)ではなく、菅原(由勢)が起用されました。スタメンの海外組は日本が5人。久保と堂安のダブルシャドーは楽しみです。」

――試合が始まりました。システムはこの年代でメインとして用いられる3-4-2-1で始まりました。久保と堂安はファールをもらって、自らFKを蹴る、という場面がありました。

「責任感とリーダーシップの見せどころですね。ただ、久保との連係はイマイチうまくいっていません。立ち上がりの課題ですね。一方で、久保は森保(一)監督の求める守備ブロックの役割を果たしています」

――個人での打開から攻め込むシーンはありましたが、効果的な崩しはここまで1回ほどでしょうか。1トップの上田(綺世)もあまり絡めていない印象です。

「たしかに、菅(大輝)と菅原(由勢)の駆け上がりやサポートが物足りない。杉岡(大暉)の方が積極的に飛び出しますね」

●「日本の選手が苦戦するのは…」

「少し話が変りますが、Jリーグの審判の笛は世界基準になっているように見えますか?」

――岩田智輝が相手とのボディコンタクトで飛ばされるシーンがありましたね。

「ぶつけられたときの対応もそうですが、マリーシア(ずる賢さ)も必要です。2回目はFWの前に身体を入れていたので、競り合うよりは倒れるだけでいいと思います」

――なるほど。前半はスコアレスで折り返しました。

「森保監督の『初めてのベストメンバー』という言葉を受けて、選ばれた選手たちが過剰に責任を感じて、戦術のプランAから抜け出せない印象です。後半の選手交代を含めて、森保監督の修正を見たいです」

――まずは後半、どのような修正を見せるか、ですね。

「リスクをとってブロックを高くするのか、サイドの選手を高い位置に押し上げるのか。相手は予想通りデュエルに強いので、組織で攻めてトライアングルを作らないと、個人技だけで打開するのは無謀です」

――日本代表は後半開始早々に失点を喫しました。

「いい目覚ましになるかもしれません。ブロックで一斉に上がって攻めるコロンビアはいいお手本ですね! 日本のサイドの選手も高く張っているけど、田中(駿汰)と3バックももう少し上がらないと」

――日本代表は59分にも失点を許してしまいました。

「いまの2点目は、前半に中山(雄太)ができなかったことです。(中山は)堂安がフリーだったのにシュートを打ってしまった。コロンビアの選手はちゃんとタイミングを計って横に流しました。エリク・モンバエルツ(横浜F・マリノス元監督)も指摘していましたが、日本の選手が苦戦するのはそういった局面での選択です。これは若い時(10歳から13歳)に戦術の反復練習が足りない証です」

●「オーバーエイジなしではやっていけない」

――日本代表は三好康児、原輝綺を入れ、4-2-3-1に布陣を変えましたが、あまり攻撃の形は作れていません。

「日本はオーバーエイジなしではやっていけないね。ディフェンスリーダーの立田はブロックを押し上げる仕事はできていない。冨安(健洋)はどうかわかりませんが、ロンドン五輪の吉田(麻也)選手だったら違ってましたね」

――その違いがこの試合では明らかになっていますね。

「このチームはユニフォームと同じようにまだ青いです。海外組はそれなりにテンポを上げようとするし、デュエルにも積極的に身体を張っていますよ。でも周りの選手はそれを見ているだけ」

――左サイドバックに入った原選手が抜かれてピンチを招きました。

「いまの局面、ベンチから『飛び込むな!』と言われているのか分かりませんが、せめてもっと低い姿勢でチェックをいれるべきです。足下を抜かれたのは、足が止まっていたからです」

――3対1の数的有利でしたからね。

「サポートがいるので、思い切って行ってもいい。これも育成に関わる(戦術的な)判断ミスですね。」

――選手によって差が生まれているということでしょうか。

「板倉選手、久保選手、堂安選手は、ぜったいにチェックまで行くよ。国内組はチェックに行かずに、止まっちゃう。ファウルが怖いのか、あるいは間に合わないと判断しているのか。20年前と変わっていない。(アーセン・)ヴェンゲルも言っていました」

――堂安選手と交代で入った食野亮太郎も、積極的なプレーを見せています。

「ファイティングスピリットが国内組と全然違う。別格です。日本は温室だからかな? わからないけど」

●「森保監督は聡明なので、きっとわかっている」

――0-2で日本代表は敗れました。試合を通じていかがでしょうか。

「森保監督の言葉通り、まだまだ力が足りません。反省点、直す部分は多いけど、あまり時間が残されていないのが心配です」

「たとえば、オーバーエイジで吉田、酒井(宏樹)、長友(佑都)を起用したら、ブロックの指示も良くなり、ビルドアップもしっかりするでしょうが…。ひとまず、国内組の意識をどう高めるかですね」

――日本代表は次戦、12月28日にジャマイカ代表と対戦します。

「クリスマスですから、欧州のチームは来ませんね。その前に国内組の合宿が不可欠です。トルシエ監督はシドニー五輪の前に何度も行いました。1月にも追加ですべきですね」

――この試合で収穫はありましたか?

「収穫は課題が見えたことです。コロンビアを選んで正解でした。個人では板倉選手は予想通り強いフィジカルを持っていて、堂安も中山もデュエルは強かった。久保選手は連係の問題がありましたが、それはあまり心配していません。前線は小川選手も上田選手もよかったので、もっと自信を持ってほしい。システム的には冨安選手と食野選手が絡むと面白い」

「誤解してほしくないのは、このチームは層が厚いということ。意識を変え、戦術を落とし込んで準備する、という問題だけです。森保監督は聡明なので、きっとわかっていると思います」

――本日はありがとうございました。

▽語り手
フローラン・ダバディ
フランス、パリ生まれ。1998年、映画雑誌『PREMIERE』日本版のエディターとして来日。99年~02年まで、サッカー元日本代表トルシエ監督の通訳兼アシスタントを務めた。現在はスポーツジャーナリスト、WOWWOWのテニス中継のナビゲーター、フランス大使館のイベントの制作に関わるなど幅広く活躍している。

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最終更新:11/17(日) 17:31
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