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「ゲームセンターはオワコン」という大いなる誤解と意外な実態

11/17(日) 11:01配信

現代ビジネス

この24年間で7万店以上が閉店

 ふと気づけば、地元からゲームセンターが消えていた──。そんな思いを抱いたことはないだろうか。業界団体が毎年発表している『アミューズメント産業界の実態調査』(一般社団法人日本アミューズメント産業協会他)によれば、実際にゲームセンターの数は1993年の時点で8万7294店舗あったのが、2017年には1万3103店舗へと落ち込んでおり(図1)、この24年間で7万4191店舗が閉店したことになる。

【図】減少を続ける国内のゲームセンター店舗数。一方、市場規模を見ると…

 こうした状況の中で「ゲームセンターはオワコン」という言葉も耳にする。「オワコン」とは、終わったコンテンツの略称で、凋落した商品やサービスを指して用いられるスラング(俗語)だ。

 最近、私がよく見聞きする印象では、ゲームセンターが凋落した理由として多くの人が挙げるのは、「スマホ(スマートフォン)でゲームができるようになったから」である。スマホは、持ち運び可能でいつでもどこでも気軽に遊ぶことができる。そのため、わざわざゲームセンターに足を運ばなくて済むという大筋で説明される。

 実際、スマホゲーム(スマホゲームアプリ等)の市場規模は急激に伸びているため、その理由はそれなりに説得的に聞こえる(図2)。

 しかし、私はこうした説明を見聞きすると既視感を覚えざるを得ない。

ゲームセンターに対する「誤解」

 ゲームセンターが凋落したという話は、なにもいまに始まったことではなく、家庭用テレビゲーム、とりわけ『ファミリーコンピュータ』(1983年、任天堂)の登場とゲーム機の進化によって、「ゲームセンターのアドバンテージは失われた」と度々言われてきた。ハードとソフトをそろえてしまえば、コインを入れなくても遊べるため、わざわざゲームセンターに行くことはない、と。

 スマホ以前には、『ゲームボーイ』(1989年、任天堂)、『ニンテンドーDS』(2004年、任天堂)、『プレイステーション・ポータブル』(2004年、ソニー・コンピュータエンタテインメント)など家庭用携帯型ゲームのほか、1990年代後半にはPHS・携帯電話用ゲームもあり、いつでもどこでも遊べる環境は整っていた。にもかかわらず、国内のゲーム市場規模は業務用ゲーム機(ゲームセンター)が最も大きかった(前頁・図2参照)。

 この明白な事実を無視した“ゲームセンター・オワコン説”が繰り返し語られてきたのである。もし言えるとするならば、スマホゲームに取って代わられたのは、携帯ゲームだけであろう。

 2014年にスマホゲームがゲームセンターの市場規模を抜き、一躍トップに躍り出るものの、だからと言ってゲームセンターの市場規模が減少し続けたわけではなく、2015年を境に上昇に転じている。この現象はゲームというメディア(ハード、ソフト)や技術だけを見ていても説明できない。

では、国内の市場規模が大きいにもかかわらず、なぜゲームセンターの数は減少し続けているのだろうか。まず、設置台数の規模別に店舗数を見てみよう(図3)1
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1同報告書では「20台以下」「21-50台」「51-70台」「71-100台」「101-200台」「201台以上」別に集計し、これを基に業界団体では20-50台を小規模店舗、51-100台を中規模店舗、101台以上を大規模店舗に分類している。これらは便宜的な分類であり、規模感覚は敷地面積や時代によっても変化する。
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一貫して減少し続けているのは、50台以下の小規模店舗であり、ほぼゲームセンターの総店舗数(前頁・図1)の減少と並行している。その小規模店舗の多くは、「その他」に分類されるシングルロケーション(少数台設置や無人営業の場所)2
であることがわかる(図4)。 90年代以降、小規模店舗が減少し続けた一方で、大型店舗は増加傾向にあり、2008年まで続いた。その大型店舗の中心は「ショッピングセンター(SC)・デパート」である。ゲームセンター・オワコン説は、店舗数の減少をもってその証拠とするが、その多くが小規模店舗であり、大型店舗は増加していたこと、他のゲーム業態と比べても市場規模は依然大きく、2015年から上昇に転じていることを無視している。

 この歴史的背景は、『デジタルの際』(聖学院大学出版会、2014)、『多元化するゲーム文化と社会』(ニューゲームズオーダー、2019)所収の拙稿をご覧いただくとして、ここでは簡単に説明を試みる。

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2「遊園地、テーマパーク等の施設、レンタルビデオ店、駄菓子屋等に併設された店舗」が分類される。
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最終更新:11/18(月) 0:35
現代ビジネス

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