決勝に向けた戦いは、すでに始まっていた。
「プレミア12」の決勝戦で激突する日本と韓国が、その前哨戦として戦った11月16日のスーパーラウンド最終戦。勝ち、負けは関係ない“消化試合”のように見えたが、両チームのベンチの間では、すでに決戦に向けた火花が飛び散っていた。
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まず仕掛けたのは韓国だ。
先発予定だったエース左腕の梁ヒョン種投手を温存。代わって8日のキューバ戦のリリーフで1イニングしか投げていない同じ左腕の李承鎬投手へと先発を差し替えてきた。
2007年の北京五輪アジア最終予選では紳士協定で試合開始1時間前にメンバー発表を行なっていたが、試合開始時には先発を含めてメンバーを大幅に変更するなど、過去にはルールの盲点をついてきたこともあった韓国だ。
そして打線も決勝進出をかけた15日のメキシコ戦の先発メンバーから5人を替えてオーダーを組んできた。
一方の稲葉篤紀監督率いる日本代表、侍ジャパンは先発も予定通りに岸孝之投手(楽天)を送り出して、打順の入れ替え等はあったが打線もほぼフルメンバーでの戦い。
日本は決勝に向けていかに自分たちの状態を上げて、さらにはいかに肌で韓国の野球、選手の特質を感じられるかに、重点を置いた戦いを繰り広げたということである。
結論から言うと、稲葉監督のその意図はしっかりと試合の中で遂行されて、日本にとっては意味の大きい“消化試合”となったはずだ。
「どの球種、コースにどんな反応をするのかを探りたいというのがあったので、明日につなげられるような材料も手にできた」
こう語るのは村田善則バッテリーコーチだった。
結果的には先発の岸を含め繰り出した6投手が韓国打線に合計12安打を浴びて、8失点したが、その点もある意味、計算済み。
「もちろん抑えにはかかっているんですけど、あえて相手の強いところ、バットが出やすいところに投げて、どういう反応をするのかを確かめることもやっている。そういう意味では打たれたことはあまり問題ではない」(村田コーチ)
だから3回に6失点した場面では、岸がチェンジアップを狙い打たれたが、それでもチェンジアップを多投するなど、普段ではありえないような配球もこの日はありだった。
最終更新:11/18(月) 12:36
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